某大企業の特許出願がこち亀で拒絶査定

某大企業の特許出願がこち亀で拒絶査定
おそらく特許第3903410号ですね・・・というTweetに気づきまして、、
経過を追っかけてみました。
案件は特開2001-343996
なんと三菱電機株式会社の出願です
発明の内容は、ナビゲーション装置などの音声入力制御システムにおいて
発話者の声が小さいときには、大きな案内音声で音声入力を促し
発話者の声が大きいときには、小さな案内音声で音声入力を促すことによって
案内音声に反応して、発話者が声の大きさを変えて音声入力し易くなるというもので
なかなか、有用な雰囲気の発明です
これに対して拒絶理由が通知されましたが
その主引例!が、
こちら葛飾区亀有公園前派出所第75巻(秋本治)」でした

審査書類情報照会を見てみると
こち亀75巻の「音声予約でコンニチハ!の巻」のようですね
(参考:ソク読み こちら葛飾区亀有公園前派出所/75
審査官は、こち亀75巻の記載について
引用例1(第6頁~第9頁)には、音声認識、音声出力が可能な装置において、発話者の音声入力の音量レベルに応じて案内音声信号(「モウ少シ小サイ声デオ願イシマス」、「モウ少シ大キナ声デオ願イシマス」)を出力するものが記載されている。
と認定して、副引例(非特許文献)との組み合わせで進歩性を否定しました
これに対して出願人は補正書と意見書を提出し
引用例1は、発話者へ直接、音量の大小を指示をするものであり、本願発明のように、検出した発話者の音声入力の音量レベルと音声認識に必要とする音声入力の音量レベルとの比較結果に基づいて案内音声調整部の音声信号の出力レベルを制御する構成とは異なるものであり、上記本願発明の格別の作用効果を奏し得るものではありません。
などと反論しました
しかし残念なことに反論は認められず拒絶査定となってしまいます
拒絶査定において審査官は
引用例1に記載の制御システムにおいて、人間らしい動作を実現させるために、所定の「発話内容」を合成音で出力する際の音声レベルを制御するために、本願請求項1に係る発明のように・・・を付加することは、引用例2の記載に基き、当業者には容易であり、また、その効果も予想し得る程度のものである。
と述べています
その後、集願人は再度補正をすると共に審判を請求して
めでたく特許3903410号として登録されました
それにしても、実際にコミックを主引例として特許が拒絶査定になる事例が存在するとは驚きです
そして、こち亀75巻は1992年発行であり、本出願が2000年6月1日であることを考えると
秋元先生の創作力が、いかに時代を先取っていたのか感心させられます
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なお、直近の本室更新は「H30年短答試験条約問10」です。

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