弁理士試験-パリ優先と拡大先願(取下擬制)

パリ優先と拡大先願(取下擬制)
29条の2と公開請求 – あやパパ
2016/06/27 (Mon) 21:26:46
長ったらしい質問になってしまいました。申し訳ありません。5日前のあがきです。どうか宜しくお願いします。
短答に出るようなことが今頃にひっかかりまして。ある予備校の質問コーナーである受験生が29条の2と国優で質問していて、それを思い出していたら、私も分からなくなってしまいまして。
ケース1
①甲が発明イについて出願A
②乙が発明イについて出願X
③甲が発明イ、ロについて、Aに対して国内優先権主張をして出願B
④甲が発明イ、ロ、ハについて、Bに対してのみ国内優先権主張をして出願C
⑤A,Bは取り下げ擬制されて、X,Cが公開された。
この場合、
甲はイを重複して優先権主張していますので、A,Bは取り下げ擬制されて、Cのみが残る。イの出願日はCの出願日とみなされる(41条2項)。Cは出願Xにより、29条の2で拒絶される。一方、乙については、Xによりイについて権利化され得る。これを阻止するには、甲はAを公開請求するしかない。
ここまで合っていますでしょうか。
問題はPCT出願の時です。
①甲はイについてPCT出願A(全指定)を日本語で行った。
②乙はイについてPCT出願X(全指定)を日本語で行った。
③甲はイ、ロについてAに対して優先権を主張してPCT出願B(全指定)を日本語で行った。
④甲はイ、ロ、ハについてBのみに対して優先権を主張してPCT出願C(全指定)を日本語で行った。
⑤それぞれ国際公開された
の時です。
全てパリ優先となる。パリ優先では最先のもののみに優先権が働く。表現は異なるが、国内優先と同様。イはAにおいて最先であって、Bでは最先ではないのでパリ優先権は効かない。イはCの時点が少なくとも日本においては出願の日とみなされる。
甲の出願Cのイは乙の出願Xにより29条の2で拒絶される。
乙の出願Xは甲の出願Aが国際公開されることで29条の2で拒絶される。
これで正しいでしょうか?ここまでは問題ないと思います。
問題は、上記の出願ABC,Xが全て英語でなされていて、XとCとのみが翻訳文が提出され、国内書面が提出されて手数料が払われた場合です。
A,Bは英語で国際公開されただけです。Cは日本語ですが、そのイについては出願はCの時にされたとみなされます。このため、XはAによっては29条の2で拒絶されない。
ここまで合っていますか?
さて、この時ですが、Xの権利化を阻む手はありますか?Aについて翻訳文を日本特許庁に出せば良いではないかと思うのですが正しいでしょうか?パリ優先なだけですから、Aは生きていますので、普通に翻訳文を提出すれば良いと思うのですが、どうでしょうか。
Re: 29条の2と公開請求 – 管理人
2016/06/28 (Tue) 12:00:54
・・・おっしゃるとおり、PCT出願Aについて翻訳文を提出すればいいと思います(特184条の13)。
なお、PCT出願Aは、国内処理基準時又は国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い日に取り下げ擬制されます(特184条の15第4項)。
これを防ぐためには、PCT出願Bにおいて、優先権主張を取り下げるか又は出願を取り下げるという方法があります。
Re: 29条の2と公開請求 – あやパパ
2016/06/28 (Tue) 21:49:21
管理人様
私の表現がややこしいので、ご迷惑をおかけします。
①甲:PCT出願A イ 英語
②乙:出願X イ
③甲:PCT出願B イ、ロ、Aに対して優先権主張 英語
④甲:PCT出願C イ、ロ、ハ、Bのみに対して優先権主張 英語
ですが、この場合、優先権主張は全てパリ優先なので、”取り下げ擬制はなくて、基礎から30カ月以内まで優先権主張の取り下げが可能”だと思います。
管理人様のおっしゃるのは、
①甲:PCT出願A イ 日本語
②乙:出願X イ
③甲:国内出願B イ、ロ、Aに対して国内優先権主張 日本語
④甲:国内出願C イ、ロ、ハ、Bのみに対して優先権主張 日本語
の形の時ですね。
Bは国内だと思います。国内優先を選択した位ですから、Aについて審査請求することはないと思います。とすると、Aについての国内処理基準時は国内書面提出期間となってAの出願から30カ月で取り下げ擬制ですね。そして、国内優先の取り下げは1年4カ月以内ですね。
(短答から離れてかなり忘れています。1年3カ月と1年4カ月だったのが統一されて、経済産業省令などとなって、混乱の極み・・・)
正しいでしょうか?
そして、出願取り下げでも優先権主張は取り下げられるわけですが、取り下げ可能時期と優先権主張の取り下げ可能時期とは同じ(経済産業省令、1年4カ月)ですね。
うーん、ちょっとややこしい。
Re: 29条の2と公開請求 – 管理人
2016/06/29 (Wed) 11:55:43
いろいろと勘違いしていました。
ご指摘の通り、先の出願が日本及び他国を指定した国際出願である場合、その優先権の主張を伴い且つ日本を指定する国際出願はパリ優先となります。
そのため、みなし取下げはなく、優先日から30月経過するまでは優先権の主張を取り下げられます(PCT規則90の2.3(a))。
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