珍しい知財判決集 平成23年

珍しい知財判決集 平成23年
平成23年(ネ)第10038号:平成23年12月26日判決言渡
平成22年(ワ)第18968号:平成23年5月20日判決言渡
「損害賠償等請求控訴事件」:折り紙の著作物について争われた事例。「折り方」はアイデアではなく表現の本質的部分であるとして、被告折り図の作成及びホームページへの掲載行為が、原告折り図についての同一性保持権及び氏名表示権を侵害するかが争われた。被告折り図から原告折り図の表現上の本質的特徴が直接感得できないとして訴えが退けられた。
平成23年(行ケ)第10256号:平成23年12月20日判決言渡
「審決取消請求事件」
「本願発明の要点は,「Send you a pair of Pants」,「Front and back 1inch misaligned」というものであり,また特許請求の範囲にいう「正弦定理三角形」も正三角形でない三角形を指すものであって・・・特許を受けようとする発明は明確にされている。」との主張が認められなかった事例。不明瞭用語のオンパレードなので、拒絶審決は止む無しかな。
平成21(受)602号:平成23年12月8日判決言渡
平成20年(ネ)第10011号:平成20年12月24日判決言渡
平成20年(ネ)第10012号:平成20年12月24日判決言渡
「著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟」
北朝鮮の著作物については、ベルヌ条約により我が国が北朝鮮の著作物を保護する義務を負わないと判示された事件。最高裁での判断でよると、日本は,未承認国である北朝鮮の加入との間における同条約に基づく権利義務関係は発生しないという立場を採っている、とのこと。
平成23年(行ケ)第10189号:平成23年10月31日判決言渡
「審決取消請求事件(特許)」
自ら執筆した書籍を引用文献として進歩性を否定された出願人が、「原告は、薬事法違反で起訴され、実刑判決を受けた。本件での引用例は、上記刑事事件においても争点の一つとなっており、裁判所はこの引用例について全くでたらめな内容の本であると判断している。」と主張し、引用文献の妥当性が争われた事件。でたらめを自認しているならば、何故その内容で出願して、審判まで請求したのか不明だが、訴訟では「刊行物が出版されたという事実自体が消滅するものではない」として、引用文献の妥当性が肯定された。
平成22年(ワ)第39994号:平成23年10月19日判決言渡
「損害賠償等請求事件」
所定の技法によって作成された編み物について創作性を否定した事例。編み目の方向の変化、編み目の重なり、色の選択、編み地の選択等の具体的構成から離れた「形の最小単位は直角三角形であり,この三角形二つの各最大辺を線対称的に合わせて四角形を構成し,この四角形五つを円環的につなげた形二つをさらにつなげた形」について創作性を否定した。
平成21年(行ウ)第417号:平成23年9月15日判決言渡
「手続却下処分取消請求事件」
北朝鮮の国籍及び住所を有する者によりされた国際特許出願が、日本において国際出願日にされた特許出願とみなされるか否かが争われた事件。未承認国である北朝鮮に在住する北朝鮮国民によって行われた国際特許出願によっては、日本と北朝鮮との間に多数国間条約であるPCTに基づく権利義務は生じないとして、北朝鮮における発明の保護を図るためにPCT上の国際出願として取り扱うべき義務を負うものではないとされ、特許庁の処分を肯定した。
平成21年(ワ)第24540号:平成23年7月22日判決言渡
「損害賠償等請求事件」
商標権侵害による損害を認めるとともに、原告が長い歳月と多大な努力で築き上げたブランドイメージが損なわれたとして70万円の損害賠償を認めた事件。・・・もしかしたら、珍しくはないかも?
平成22年(ワ)第35800号:平成23年4月27日判決言渡
「損害賠償請求事件」
被告の商品台紙に掲載した取扱説明文及び写真が、原告が実用新案登録出願の願書に添付した手続補正書の複製・翻案等であるとして、著作権を侵害するか否かが争われた事件。判決では手続補正書の創作性が否定され、特に図面については、考案をありふれた手法で図示したにすぎないと指摘されている。
平成22年(行ケ)第10121号:平成23年3月10日判決言渡
「審決取消請求事件」
複数請求項を一体の一発明と認定しなかった点、補正指導を行わなかった点等を理由に、拒絶審決の取消しを求めた事件。各請求項に記載された発明は、個別に特定された発明として審査対象となることが予定されており、複数請求項を一体とした発明として審査対象とすることは特36条の文理に反すると判示された。また、出願人の本来の意図と請求項の記載との間に齟齬がある場合に、審査官が出願の不備・欠陥を指摘する義務は負わないと判示された。
平成22年(行ケ)第10308号:平成23年3月3日判決言渡
「審決取消請求事件」
審尋書において「回答がない場合であっても,審理において不利に扱うことはありません」との記載がされていたことをもって、回答書提出後に少なくとも1回は意見書等の提出機会が与えられるべきであるとして、拒絶審決の取消しを求めた事件。もちろん、この主張は認められなかった。
平成22年(行ケ)第10263号:平成23年2月3日判決言渡
「審決取消請求事件」
審判において面接をする機会を与えなかったことは、特許出願人の期待権を侵害するとしてその審決の取消を求めた事件。面接を行うか否かは個々の事案において審判合議体の裁量に属する事項であり、特段の事情のない限り、面接を行わなかったことが審判手続上の違法となるものではないと判示された。

なお、本日の本室更新は「特許法第41条」です。
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