弁理士試験-意匠法29条の2

意匠法29条の2
意匠法29条の2 – あやパパ
2014/03/01 (Sat) 10:10:47
意匠法の29条の2の先出願ですが、3条1項各号違反ですが、以下のように考えるとどうも腑に落ちません。解説お願いします。
①公知意匠イが存在する。
②ろくに公知意匠を市場調査しないでイに類似するロにて意匠出願Bを乙が行った。拒絶査定が確定した。
③きちんと公知意匠を市場調査し、意匠ロを創作したにも関わらず公知の意匠イと類似と判断し、やむなくロの出願を丙は断念した。
④後日、丁がロに類似する意匠ハにて出願Cを行い登録査定を受けた。
⑤ろくに市場調査をしないで意匠出願Bを行った乙は意匠ロの実施をできる(丁から通常実施権)が、市場調査を行った結果丙はロの出願をしていないので丁からの通常実施権は得られず、ロの実施はできない。
このように考えると、ろくに市場調査をしないてとにかく意匠ロを出願した乙が得をしていて、真面目に市場調査をした丙は損をしているように思えるのです。さらには、意匠としては、思いついたらとにかく出願して実施してしまえ、位の勢いになりそうです。
どうなのでしょうか?
Re: 意匠法29条の2 – 初学者
2014/03/01 (Sat) 11:00:48
意匠法の29条の2の先出願ですが、3条1項各号違反ですが、以下のように考えるとどうも腑に落ちません。解説お願いします。
①公知意匠イが存在する。
②ろくに公知意匠を市場調査しないでイに類似するロにて意匠出願Bを乙が行った。拒絶査定が確定した。
③きちんと公知意匠を市場調査し、意匠ロを創作したにも関わらず公知の意匠イと類似と判断し、やむなくロの出願を丙は断念した。
④後日、丁がロに類似する意匠ハにて出願Cを行い登録査定を受けた。
⑤ろくに市場調査をしないで意匠出願Bを行った乙は意匠ロの実施をできる(丁から通常実施権)が、市場調査を行った結果丙はロの
出願をしていないので丁からの通常実施権は得られず、ロの実施はできない。
このように考えると、ろくに市場調査をしないてとにかく意匠ロを出願した乙が得をしていて、真面目に市場調査をした丙は
損をしているように思えるのです。さらには、意匠としては、思いついたらとにかく出願して実施してしまえ、位の勢いになりそうです。
どうなのでしょうか?
以下私の考えです。
>意匠としては、思いついたらとにかく出願して実施してしまえ、位の勢いになりそうです。
これが当然だと思います。誰が見ても100%完全同一でないかぎり、登録の可能性はありますし、
登録になったら新しい意匠が公開されて、それが利用されることで、また新しい意匠を誰かが
創作してそれが需要を刺激して産業が発達します。
特許も実用新案も意匠も創作法の根底にある趣旨は、新しいものを公開させる代わりに独占権を与えようというものです。
国は本当は独占権なんかあげたくない、しかし、独占の利益がなければ発明を公開するインセンティブがないから
秘匿化が進み、第三者が利用することでの進歩がない。しょうがないから独占権を上げよう。ということだと思います。
ここで、制度をつくった国としては 出願する=公開の意思 とみなせるわけで、なるだけ多くの創作物を早く公開させ、
第三者に利用させようと思ったらインセンティブとして、出願するということにもそれなりの権利を与えた方がいいのだと
思います。
特許は出願しただけでいろんな権利がついてきますよね。
意匠だってそう考えればいいのだと思います。
だから、出願したかどうかによって、乙と丙の間でその後の実施できるかの権能に差が出てもおかしくはないと思います。
私はこの辺の問題についてはこんな感じで理解しています。
あと、例の場合だと
丁の登録意匠ハは公知意匠イに類似(3条1項3号)はしていないが、創作容易(3条2項)ということで104条の3の抗弁ができるので、
現実としては丙が意匠ロを実施することに問題はないのでしょう。
Re: 意匠法29条の2 – あやパパ
2014/03/01 (Sat) 16:28:15
初学者さんへ
うーーん、どうでしょうか。
特許では出しても成立しませんし、それによる利益はありません。ですから、公知例調査を徹底的にやってから出願します。ところが、意匠では、先出願による通常実施権というものがあって、特許とは根本的に違うように思えたものですから。
Re: 意匠法29条の2 – 初学者
2014/03/01 (Sat) 20:50:03
先出願による通常実施権は意匠には公開制度がないので、特29条2に対応する規定がなく、また、法改正で拒絶査定が確定した出願に先願の地位がなくなったことも、その理由でしょう。
実務上はどうあれ、根底に流れてる思想は特許も実用新案も意匠も変わらないと思います。
「創作したら出願してね。公開するけど、要件みたせば独占権あげるよ」です。
意匠だけは、出願公開制度がなく、ちょっとだけ実務上の手続きが違うだけで、創作に対する扱いというものについての根本的な違いはないと思います。
発明か、外観かという点で違いはあるものの、大きな視点からみれば、正直微差でしょう。だから出願の変更も特許、実用新案、意匠の間で認められてるわけですから。
発明と意匠の間に根本的な差があれば出願の変更が認められるはずはないと思います。
Re: 意匠法29条の2 – 太陽王
2014/03/01 (Sat) 23:19:54
丙は出願しなくても、29条の要件を満たせば先使用権を得られますね。
ところで意匠権は公開の代償なのでしょうか。
だとすると秘密意匠を認めるのが腑に落ちないです。
私は意匠の登録公告は権利内容を周知させ侵害事件を避けるためだと思っています。
Re: 意匠法29条の2 – 初学者
2014/03/02 (Sun) 00:05:12
>私は意匠の登録公告は権利内容を周知させ侵害事件を避けるためだと思っています。
これもあるのでしょうけど、公開させることで第三者の利用に供するのが目的です。
意1条にそもそもそう書いてあります。意匠法は意匠の保護と利用を図るための法律です。
秘密意匠については、
1.意匠は発明と違って累積的進歩の側面が少ない。だから発明よりは非公開にする
ことによる不利益は発明よりは大きくない。
2.意匠は物品の外観にのみ係るものであり、模倣しやすい。従って出願人の受ける不利益
の方が公表によって第三者が受ける利益よりも大きい。
3.先願主義の下ストック意匠を確保する必要性がある。
などから、実施時期と公表時期の調整を図るため、登録後の一定期間、登録意匠を秘密にする
制度を導入したものです。例外規定ですし、秘密期間は登録から3年限度で必ず公開されます。
確かに意匠については発明に比べると公開させる意義はそこまで大きくないから秘密意匠
制度なんてのが存在してますが、公開させることの意義の大小はあくまでも発明との比較にすぎ
ません。本質的に発明と違うなんてのはありません。
Re: 意匠法29条の2 – 管理人
2014/03/03 (Mon) 14:45:40
初学者さん、太陽王さん
回答への御協力ありがとうございます。
さて、「ろくに市場調査をしないでとにかく意匠ロを出願した乙が得をしていて、真面目に市場調査をした丙は損をしているように思えるのです」については、単なる戦術の違いだと思います。
つまり、出願のスピードを重視する戦術として調査をしないで出願するというのは、無駄出願は増えますが戦術としてありだと思います。
その結果、意29条の2の通常実施権を取得できたというだけでしょう。
言い方を変えると、丙は出願費用を節約できるというメリットを享受し、結果的に通常実施権を得られないというデメリットを被りました。
一方、乙は出願費用を無駄にするというデメリットを被り、結果的に通常実施権を取得するというメリットを享受しただけだと思います。
意匠にしろ特許にしろ調査をするかしないかは産業の発達という法目的とは関係がなく、単に無駄出願を減らすために行われると思いますので、どのような出願戦術を採用するのかの問題だと思います。
Re: 意匠法29条の2 – あやパパ
2014/03/03 (Mon) 21:45:50
なるほど、戦術の違いですか。費用対効果ですかね。
そういう意味では、思いついたら兎に角出して、ダメでも利益のある意匠は、特許より費用対効果は良さそうですね。
今後共宜しくお願いします。
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