弁理士試験-仮差押・仮処分に対する主張の制限

仮差押・仮処分に対する主張の制限
104条の4に関わる – 条文は友達
2012/09/18 (Tue) 16:49:53
高部判事は、論文の中で、侵害訴訟等を本案とする仮差し押さえ命令や仮処分命令が審決確定により遡及被保全権利が消滅し違法なものとなったという主張もできない(104の4条)。よって、違法仮差し押さえ処分や違法仮処分を理由とする損害賠償請求や不当利得返還請求が認められる余地はないと見解を示されていますので、管理様の解答にある「相手方に対して何らかの賠償責任が発生することはあります。」は、あり得ないとの解釈が成り立つのですが、いかがなものでしょうか?これは、規定ぶりから「主張できない」からも明らかと説示されています。いかがなものでしょうか?
Re: 104条の4に関わる – 管理人
2012/09/18 (Tue) 18:04:53
回答の御協力頂いたので優先的に回答いたします。
さて、ご指摘の論文ですが、特許権が有効であることを前提に発令された仮差押命令や仮処分命令に対しては、本案訴訟の終局判決(勝訴判決)が確定した後に当該特許権が無効となったことを理由に損害賠償請求や不当利得返還請求を主張することができない(認められない)というものではないでしょうか。
http://www.inpit.go.jp/content/100186521.pdf
従って、本案訴訟において特許権者が敗訴した場合には該当しないと思われます。
なお、特104条の4の事例に沿って考えても、同項3号の例外、例えば、訴訟で立証された無効理由とは異なる無効理由に基づき第三者が別途請求した無効審判において、無効理由を解消するために訂正された場合には、主張が制限されません。
その他、仮差押命令や仮処分命令が発令された後であって本案訴訟の終局判決が確定する前に、無効審決が確定する場合なども考えられます。
もし、違う論文の話でしたら、改めて御指摘いただけると幸いです。
Re: 104条の4に関わる – 条文は友達
2012/09/19 (Wed) 12:42:59
丁重な説示ありがとうございます。
論文を検証すると、「類型D」において、侵害訴訟で特許権者が敗訴した場合で、かつ、その後、侵害者(当事者)が請求した無効審判で、訂正が認められ場合には、主張できないが、「第三者」が請求した無効審判で、訂正が認められた場合には、「当事者」は、主張できるとの解釈でよろしいでしょうか?
Re: 104条の4に関わる – 管理人
2012/09/19 (Wed) 15:00:16
まず、違法仮差押処分や違法仮処分を理由とする損害賠償請求が認められるか否かの話に、特104条の4第3号の例外を持ち出したのは、私の間違いです。
却って分かりにくくなってしまいました。
申し訳ありません。
さて、論文の類型Dは、請求棄却判決が確定した場合(例えば、無効理由があることを理由に特許権者敗訴が場合※特104条の3)、その後の訂正審決確定によって無効理由が解消したとしても、特許権者は再審でそれを主張して紛争の蒸し返しを行うことができないということです。
従って、①侵害訴訟で特許権者が敗訴した後に、侵害者(当事者)が請求した無効審判で、訴訟で立証された無効理由を解消するための訂正が認められた場合には、特許権者はそれを主張できません。
一方、②侵害訴訟で特許権者が敗訴した後に、第三者が請求した無効審判で、訴訟で立証された無効理由とは異なる無効理由を解消するための訂正が認められた場合には、特許権者はそれを主張できる可能性があります(訴訟で立証された無効理由をも解消している場合は主張できない)。
ここで、②の場合に主張が制限されるのは「侵害者」ではなく「特許権者」です。
というのも、侵害訴訟で勝訴した「侵害者」が訂正審決確定を理由に再審を請求する場面が想定しにくいからです。
条文上は「特許権者」に限られていないので、結局は、紛争の蒸し返しになるか否かで判断することになると思います。
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