東日本大震災後に弁理士ができたこと

今日で東日本大震災から1年たちました。
さて、3.11後、有志の方々と「弁理士復興支援グループ」を作り、
弁理士による復興支援を検討提案してきました。
このグループでは、各自が持っている支援情報を持ち寄り、
弁理士会に対して復興支援の提案を行いました。
具体的には、以下の通りです。
①係属案件の保全
手続期間が限られた係属案件を緊急に保全する。
②金銭支援
出願権利化(権利維持を含む)活動に対して必要な金銭を支援する。
③人材支援
出願権利化(権利維持を含む)活動に対して必要な人材を提供する。
④地域ブランド復興支援
復興支援共通商標や、被災地の地域団体商標を登録し、被災地産商品・サービスの購入・利用を促す。
⑤知財経営サポート
被災地の中小企業の中から、支援先を選んで知財経営をトータルサポートする。
⑥その他
知財復興支援ポータルサイトの作成等。
そして約1年、弁理士による復興支援の企画を行ってきました。
しかし結論として、「ほとんど何もできなかった」と言わざるをえません。
ご協力いただいた皆様にはこの場を借りてお詫び申し上げたいと思います。
誠に申し訳ございませんでした。
なお、直接的又は間接的に関わった事項については、
弁理士会会長の御報告をご覧ください。
さて、今回の反省を踏まえて、
今後予想される大災害のためにも改善点を提案させて頂きます。
1.震災発生直後
被害の程度を確認し特に被害が大きいと予想される場合は、
速やかに会長直属の震災対策プロジェクト本部を立ち上げ、
震災後1月の間で以下のことを行う。
なお、本部の委員は各支援機関の長と、
被災地出身(又は在住)の会員から公募した委員とから構成する。
①会員及び顧客の安否確認
②義捐金を募る
③知財系の震災対策(支援)情報のポータルページを作成する
④被災者対象の特別相談窓口の設置
⑤会員向けに被災後の対応について情報を提供する

2.震災発生後の復旧段階
震災発生後1~6月程度の段階では、
弁理士が活躍できる場面はほとんどない。
実際、東日本大震災後に行われたニーズ調査では、
継続中の案件の維持協力と、
金銭的・人的支援とが挙げられたのみである。
よって、以下のことを行う。
①震災対策(支援)情報の提供
②上記情報の周知のために地元紙に広告を掲載する
③義捐金の寄付

3.震災発生後の復興段階
震災発生後6月経過御威光は、
被災地でも復興の準備が始まる段階である。
ここで、被災者から弁理士に支援要請が来る可能性は、極めて低い。
弁理士がそのような役割を担うと認識されてないためであると思われる。
この点は、ニーズを探してから支援するという立場をとっていた結果、
何らの成果を出せなかったという2011年の経験からも明らかである。
よって、今後万が一震災が発生した場合は、
以下のことを行うべきである。
①産業復興支援を行う機関と協力して知財面からのアドバイスを行う
(そのようなチームを準備し、各機関に派遣する)
②産業創造支援を行う機関とと協力して知財面からのアドバイスを行う
(東日本大震災においてもNPO等が創造支援を行っている)
③知財価値評価を通じて、復興資金の借り入れ支援を行う
(金融機関は資金の貸し出しを行いたいという強い想いを持っているが、
資産のない企業への貸し出しには抵抗があるという事実が報告されている。
そのため、価値ある知財資産は融資への強い動機づけとなり得る。)
最後に、結果的にこの1年間は「弁理士は無力」という現実を噛み締めるだけでした。
しかし、一方で「弁理士は何もしてくれないのか?」という話も聞こえてきています。
裏を返せば「弁理士にできること」があるということです。
私は、この期待に応えたいと思っています。
まだまだ、諦めずに頑張ります。
私一人の力では・・・本当に何もできないのです。
皆様、どうかお力をお貸しくださいますよう、伏してお願い申し上げます。

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