弁理士試験-意3条の2の出願人同一

意3条の2の出願人同一
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意3条の2について – kaeru
2009/09/23 (Wed) 13:23:15
今度は私が質問させていただきます。
甲・乙共同で全体意匠Aを出願後,Aの意匠公報発行日までに甲単独で部分意匠aを出願した場合3条の2の適用はあるのでしょうか(秘密意匠を除く)?
吉藤先生の本には「出願人の同一は,出願人の完全一致をいい,一部一致をいわない」と書いてあります。
私見を述べますと,Aの意匠公報発行日までにAにかかる意匠登録を受ける権利の移転(特33条)等をすれば部分意匠aに係る3条の2の適用はない(3条の2ただし書)ことはわかります。しかし,本問の場合,上記「一部一致」に該当するため3条の2の適用を受け,意匠登録を受けることができない(17条1号)と考えるのが自然かなと・・・(特29条の2にも同様な論点)。また,3条の2の趣旨である「自己製品デザインの実効力拡大」からしても,乙に不利益があるように思えます。
ご回答よろしくお願い致します。
Re: 意3条の2について – 管理人
2009/09/24 (Thu) 12:22:35
ご質問ありがとうございます。
さて、ご推察の通り、共同出願に係る場合における「同一の者」は、全ての出願人が一致することをいいます(審査基準)。
よって、ご質問の場合、出願人が完全一致していないので、意3条の2が適用されます。
なお、ご存知とは思いますが、同一の者であるか否かの判断は、査定の謄本又は拒絶の理由の通知書の送達時で判断されます。
Re: 意3条の2について – kaeru
2009/09/25 (Fri) 13:29:24
管理人さま
ご回答ありがとうございます。
ちなみに,上記の質問事項を問うような問題は今まで出題されたことがないので短答・論文ともに出そうですよね~
一方,先願の意匠の創作者と後願の意匠の創作者が同一の場合に3条の2の適用はあるのでしょうか?
例)予約承継の定めがある株式会社甲の従業者である乙は,職務意匠Aを創作した。そこで,甲はAの創作者を乙として意匠登録出願Xを行った。一方,乙はAに含まれる部分aの部分意匠出願Yを,自ら出願することを希望している。この場合乙の部分意匠出願Yをした場合3条の2の適用を受けるか。ただしXの秘密意匠の請求はなく,Xにかかる公報は発行されておらず,Xに無効理由はないものとする。
自分で問題を作ってみたんですが管理人さまを試すような言い回しで申し訳ないです。
あくまでも解りやすくするための具体例なのでご了承ください。
なお,特29条の2にはカッコ書きで(その発明又は・・・除く。)とあります。しかし,意3条の2にはこのような記載がありません。
またまた私見ですが上記の例の場合3条の2の適用はないのかなと思います。でも後願と先願の出願人は一致しないし・・・
こうした論点はこだわりだすとキリがないですね。
ご回答いただけたら幸いでございます。
Re: 意3条の2について – 管理人
2009/09/26 (Sat) 02:34:24
ほぅ私の実力を試そうと言うのですね。
面白い・・・その挑戦受けて立ちましょう!
冗談はさて置き、出願Xの却下・放棄・取下・拒絶、出願Yの出願日の遡及、補正後の新出願、及び出願人の変更はないという前提で回答します。
結論を言うと、出願Yは意3条の2の適用を受けます。
つまり、後願意匠の創作者が先願意匠と同じであっても、後願は意3条の2で拒絶されます。
理由は、特29条の2のかっこ書きのような除外規定が設けられていないからです。
これは結構大事な所ですが、根拠不明です。
どなたかご存知なら教えて下さい。
Re: 意3条の2について – kaeru
2009/09/26 (Sat) 22:51:25
管理人様
ご挑戦(?)とご回答,誠にありがとうございます。
確かに条文の解釈上3条の2の適用がありそうですよね・・・
(重箱の隅をつつくようで申し訳ないのですが,
特29条2項も29条1項の適用があるときには適用されないですよね?しかし条文上は記載がありません。
一方,意3条2項にはカッコ書きの記載がわざわざされています。どちらも同じ適用形態なのに・・・意3条の2も類推適用されるのではないかという疑問も??運用上の問題なのでしょうか。)
もしや,つついてはいけないところをつついてしまったのでしょうか?
管理人さん,すみません。
Re: 意3条の2について – 管理人
2009/09/27 (Sun) 03:01:59
弁理士試験上は、特29条1項の適用があるときには、特29条2項適用されません。
その理由は、新規性のない発明は、進歩性有無の判断対象にならないからです。
(意3条2項かっこ書の類推適用ではありません。)
さて、疑問をお持ちの点については、根拠を知らないので、私見で解説させて頂きます。
まず、新規性不備で拒絶するか、進歩性不備で拒絶するかは、審査官の裁量に属する部分であると思われます。
よって、条文上に規定がなくとも、適用の有無を運用で変更できる余地があります。
一方、意匠の創作者が同一か否かの判断には、裁量の余地がありません。
そのため、意3条の2が適用されないとするには、明文の規定が必要であると思われます。
なお、実務的には、特29条1項及び特29条2項を同時に適用した拒絶理由がよくあります。
このような拒絶理由通知では、進歩性がない理由の説明をせずに特29条2項を適用しているので、個人的には不備ある拒絶理由の通知だと思います。
しかし、訴訟してもまず勝てませんので、素直に新規性及び進歩性の不備に対する反論をします。
Re: 意3条の2について – kaeru
2009/09/27 (Sun) 10:16:37
管理人様
ご回答いただきまして感謝致します。
大変参考になりました。
(特29条についてはメリヤス編機事件を思い出しました。)
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