珍しい知財判決集 平成29年

平成29年(ワ)第24850号:平成29年10月30日判決言渡
「特許申請の真正な名義への訂正等請求事件」
同姓同名の他人が、発明者の名義を訂正し、謝罪広告を新聞に掲載するように求めた事例。TOTO 株式会社の出願において、原告と同姓同名の発明者が記載されていたために、その訂正と記載を誤ったことに対する謝罪広告の掲載を求めて提訴したというアレな事件である。当然、原告の氏名を冒用したとの事実は認められないと判示された。なお、事件名が「特許申請の真正な名義への訂正等請求事件」とあるのは、「真正」な名義と特許「申請」をかけた高度な駄洒落だと思う。

平成28年(行ケ)第10238号:平成29年7月18日判決言渡
「補償金請求控訴事件」
拒絶審決において「請求項2」を「請求項1」に誤記したことによって手続違背となり、審決が取り消された事例
拒絶査定においては、請求項1に係る発明において拒絶の理由を発見しないと記載されていた。しかし、審決では、審判請求時の補正を却下した上で、補正前の請求項1に係る発明について、進歩性がないとして拒絶していた。特許庁は、審決において請求項1の記載を摘記したのは請求項2の誤記であると主張し、且つ審決における相違点の認定も請求項2の発明に対応するものであった。しかし、知財高裁は、相違点の認定を誤ったことになるとして、拒絶の理由は通知されていないから手続を欠いた違法が存在すると判示した。

平成27年(ワ)第22491号:平成29年4月13日判決言渡
「損害賠償請求事件」
マキサカルシトール製剤を販売等する被告らに対し、特許権の均等侵害して損害賠償金を請求した事例。事例はそれとして、原告が独占的通常実施権者としての立場で損害賠償請求しているときに、特許権者から許諾を受けた独占的通常実施権者が製品を販売する場合も、特許法102条1項(損害の額の推定)及び特許法103条(過失の推定)が類推適用されると判示された。

平成28年(行ケ)第10067号:平成29年1月23日判決言渡
「審決取消請求事件」
プロダクトバイプロセスクレームであっても、発明特定事項を製造方法により特定される状態に限定して審査すれば、拒絶できることを判示した事例。補正によって製造方法を含むことになったクレームについて、審判ではPBPクレームの明確性要件違反の有無については検討・判断することなく、進歩性の有無について検討された。これについて、出願人は、明確性についての審理を尽くしていない等と手続の違法を主張したが、別の独立特許要件である進歩性の欠如を理由とする結論について、知財高裁はこれを合法であると判断した。
結論は首肯できるけど、本来製造方法に限定して審査しちゃいけないのを、製造方法に限定して審査している点で、審査手法に誤りがあると思うんですよ・・・。

平成27年(行ケ)第10230号:平成29年1月25日判決言渡
「審決取消請求事件」
無効審判請求人が冒認を裏付ける事情を具体的に指摘し且つ裏付けとなる証拠を提出する場合は、これを凌ぐ主張立証をしない限り冒認と判断されると判示された事例
冒認出願を理由とする無効審判の審決取消請求事件である。「特許を受ける権利を承継した者によりされたこと」についての主張立証責任は特許権者が負担するが、冒認を疑わせる具体的な事情を何ら指摘することなく且つその裏付けとなる証拠を提出しない場合は、主張立証の程度は比較的簡易なもので足りるとされた。一方、冒認を裏付ける事情を具体的に指摘し且つその裏付けとなる証拠が提出された場合は、これを凌ぐ主張立証をしない限り主張立証責任が尽くされたと判断されないとされた。その上で、現特許権者が発明の着想を得ていたことやそれを具体化するための方法を試行していたことを示す証拠が何ら見当たらないにもかかわらず、突如としてサンプルを製作するというのは不自然であるとして、一部請求項については冒認が認められた。

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