2024年4月1日から、希望する場合、特許証がオンライン発送となります。ここで、特許事務所の場合には、オンライン発送か郵送かの二択になり、出願人毎にオンライン発送を選ぶことができません。というわけで、多くの事務所では(出願人への郵送を避けるために)オンライン発送を選択すると思います。
しかし、一部の出願人は、今後も郵送を希望する可能性があります。そのため、そのような場合には印刷した特許証を郵送することになります。ただし、今までと同程度の品質の特許証を事務所で印刷するのはかなり難しいです。
特許(登録)証の規格
特許庁が発行する特許(登録)証と同水準の規格として、以下の規格が開示されています(「発送手続のデジタル化について」Q6)。
特許、実用、意匠:
用紙:色上質紙(クリーム)、厚さ0.18mm、斤量84.5kgA版(坪量153.5g/m2)
サイズ: A4
印刷方向:縦
商標:
用紙:マットコート紙(半光沢紙)または上質紙(非塗工紙)、厚さ0.18mm、斤量86.5kgA版(坪量157g/m2)
サイズ: A4
印刷方向:縦
特許証印刷の外注先
このように規格が公開されているため、同水準の紙を購入できるとしても、事務所のプリンターで印刷すれば品質が劣るのは明らかです。そこで、わたしは思いつきました・・・
『今まで特許証の印刷を請け負っていた印刷会社に外注すればいいじゃない!』
というわけで、特許庁の契約締結状況を確認しました。具体的には、「競争入札「公共調達の適正化について」に基づく契約締結情報の公表(令和5年度)」から、「請負契約等-競争入札に係る情報の公表(物品役務等)」のエクセルデータを調べました。調べるのは、エクセルデータの(令和5年)4月の入札情報です。
結果を言うと、「特許証等の作成」を発注されていたのは、「株式会社広済堂ネクスト」様でした。ホームページを見ると、一般の印刷サービス(プリントメディア)も請け負っているようですね。そこで、早速お見積もりの依頼をいたしました。
お見積もりの結果
概略、以下のような内容でのお見積もりを依頼させていただきました。なお、見積もりを頂けたので、今後は出願人にお見積もり結果を提示して、特許証印刷の可否を回答して頂くことになります。
数量:1回あたり2~3枚
頻度:月1回
用紙:2種(特実意:色上質紙/商標:マットコート紙)
入稿:PDFデータ入稿
納品:事務所あてに郵送
実際の価格については、興味がある方がお問い合わせして頂ければと思いますが、印刷費用と送料を合わせても1000円にはなりません。ただし、印刷機械を一回動かすために数万円の料金が発生します。
また、特許証の飾り帯と長官名は特色で印刷していたそうです。そのため、PDF入稿の場合には、色の再現が困難であるとのことでした(それでも事務所で印刷するよりは高品質でしょうが)。なお、再現したいならば、別途入稿形式を相談することは可能であると思っています。
終わりに
出願人の選択次第ですが、現実的な価格で特許証の再現は可能であると思います。ただ、印刷機械を動かす料金が高額であるため、実際に依頼するならば、複数の事務所で取りまとめて依頼するなどの工夫が必要だと思いました。例えば、100枚/1回程度に枚数をまとめて依頼できれば、特許証1枚で2000円程度で済むと思います。そのため、より現実的な選択肢になるように思いました。
というわけで、特許証の印刷を検討している事務所の皆様!
ぜひ、「株式会社広済堂ネクスト」様へのご依頼をご検討くださいね!!
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