特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来 ネタバレビュー

第20回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作であり、現役弁理士が描くミステリー小説ということで、さっそく読んでみました。ストーリーとしては、企業から特許権侵害の警告を受けた著名VTuberを、主人公である女性弁理士が専門知識を駆使して守るという話です。

特許権侵害を警告された人気VTuberを救うべく、特許の専門家・弁理士の豪腕が炸裂する!魅力的な新ヒロイン登場!(宝島社HPから引用)

https://www.amazon.co.jp/dp/B09NLZQGZN/

ミステリ要素としては、
『特許権者が専用実施権者を介して警告し、また専用実施権者が言いなりとなる理由は何か?
『新規性・進歩性があり、且つライセンスを受けることができない状況で、提訴を回避しつつ和解をする方法は何か?
という点、そして当事者を仲違いさせる方法は何か?にあります。

会話ベースで話が展開されていくので、非常に読みやすく、一日で読了できます。話題の作品ということもあり、知財業界の方であれば話のネタにご一読することを強く推奨します。個人的な感想ですが、専門家が読む場合にはある程度察しがついてしまうという残念感があります。恐らくは、一般人を読者として捉えて、元々の記載を修正したのだと思います。一方、一般人が読んだ場合には、謎解きが略不可能となるのは、知財がテーマという点でしょうがないことなのかもしれません。テーマが商標だともう少し一般受けするような内容にできるのかもしれません。

また、読了した後に条文を確認したくなる方がいると思いますので、以下に確認用条文をいくつか挙げておきます。
特許法2条3項1号(発明の実施とは、物の生産、使用、譲渡等をする行為)
特許法123条2項カッコ書き(特許無効審判は利害関係人に限り請求できる)
弁護士法72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁理士法75条(弁理士又は特許業務法人でない者の業務の制限)
民法562条(契約不適合責任)
なお、2022年1月22日にオンライン開催される弁理士試験の合格者祝賀会のトークセッションに、作者の南原詠弁理士が登壇するそうです。合格者の方は、話題の作者のお話を伺う機会をお見逃し無いように!

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