知財予算は営業利益の1%

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特許法 独学 チワワ

たまに、知財予算は「売上の1%」という話を目にします。しかし、実際にその根拠が示されることはないように感じています。そこで、本当に1%なのかを調べてみました。なお、言うまでもないですが、1%がどの会社にも適しているという話ではありません。

知財予算の傾向

調査に際して参照したのは、「令和元年度知的財産活動調査結果 統計表」の「業種別出願件数階級別集計表」です。この集計表は、特許出願件数が31万件を下回った2019年の調査結果に基づきます。31万8481件(2017年)→31万3567件(2018年)→30万7969件(2019年)という近年の出願減少傾向は変わらず、2020年のコロナ禍のような大きな変化もない年でしたので、参照資料としては問題ないと思います。というわけで、本資料に基づいて知財活動費(以下、知財予算という)の傾向を調べてみました。なお、「知財活動費」は、出願系費用、補償費、人件費、その他費用を含みます。

さて、2019年の知財予算の傾向ですが、大きく以下のことが分かりました。ご参考までに知財予算の傾向のPDFデータを公開しますので、詳細については以下のPDFをご参照下さい。なお、平均値、及び活動費の割合の算出方法ですが、各合計値毎に標本数が異なるので、売上高等の各合計値を標本数で割って平均値を算出し、平均値に対する活動費の割合を算出しています。

売上に占める知財予算の割合は極小さい

全体で見た場合、売上に占める知財予算の割合は1%ではなく0.1%(0.09%)でした。もちろん、業種によってかなりばらつきがあり、電気機械製造業と業務用機械器具製造業は、売上に占める知財予算の割合が他の業種よりも高いです(0.4%)。一方、建設業及び情報通信業等は、売上に占める知財予算の割合が他の業種よりも低い(0.02%)です。また、出願件数が多くなると売上に占める知財予算の割合も高くなります(具体的に1~5件では0.02%だが100件以上では0.17%となる)。

なお、全体で考えるときには、非製造業と卸売・小売を抜いたほうがより実状に近い結果がでそうです。とはいえ、割合が高い電気機械製造業と業務用機械器具製造業であっても0.4%ですから、1%には至らないですね。

②日本特許費用は外国特許費用の約半分

全体でみた場合、日本特許費用(特許費用には、出願権利化及び維持の費用が含まれる)は、外国特許費用のおおよそ半分でした。建設業と情報通信業は日本特許費用の方が高く、金属製品製造業では、日本特許費用と外国特許費用が同じ位です。しかし、他の業種では、日本特許費用が外国特許費用の1/2~1/3でした。

また、全体で見た場合、出願件数が多くなるほど、日本特許費用と外国特許費用との差が広がります。具体的に、1~5件では日本特許費用の方が高いのですが、5~10件では外国特許費用が1.5倍、10~50件では外国特許費用が1.9倍、50~100件では外国特許費用が2倍、100件以上では外国特許費用が2.5倍でした。

営業利益に占める知財予算の割合は1%

全体で見た場合、営業利益に占める知財予算の割合が1%(1.12%)でした。こちらも業種によってばらつきがあって、情報通信業では0.16%ですが、業務用機械器具製造業では6.55%です。意外にも、医薬品製造業では1.48%と、それほど高くありませんでした。

とはいえ、上記したのは2019年の結果ですので、念のため他の年の結果も調べてみました。その結果は以下の通りであり、「知財予算は売上の0.1%又は営業利益の1%」と説明しても、全く根拠がないわけではないと思います。

 平均売上高平均営業利益平均知財活動費活動費/売上活動費/営業利益
20191074億4270万86億4011万9701万0.09%1.12%
20181657億9038万135億1052万1億5965万0.10%1.18%
20171520億4888万100億1721万1億6656万0.11%1.66%
20161050億2120万71億1119万1億0071万0.10%1.42%

というわけで、私としては今後、「知財予算は営業利益の1%」の説明でやっていこうと思います。例えば、クライアントに対しては、予測営業利益の1%を知財予算と仮定して、外国は国内の2倍の予算であるものとして、出願件数及び出願国等を提案してみようと思います。

蛇足

ついでに、知財予算に占める特許費用の割合も調べてみました。全体では62.36%であり、これまた意外にも、出願件数の増加に応じて割合が変化するものではありませんでした。専任の知財担当がいない場合を除いて、知財予算の50~60%を特許費用とするということでよいのかなと思います。

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