最高裁判決の紹介:平成30年(受)第1412号

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平成30年(受)第1412号『発信者情報開示請求事件』
リツイートによる著作者人格権の侵害に関する最高裁判決です。
結論としては、『リツイートによって、システムの仕様に従い元画像の氏名表示部分がトリミングされた場合であっても、リツイート者が著作者人格権を侵害する主体となる』です。

なお、リツイート者が氏名表示権を侵害しないようにリツイートする自衛手段として、戸倉三郎裁判官によれば、「元の画像を見ることにより著作者名の表示を確認し、著作者名を付記したコメント付きリツイートをする」という方法が可能であるとのこと。
蛇足ですが、トリミングによる同一性保持権の侵害について、本判例は射程外であるように思います。

事案の概要(氏名表示権侵害の部分)は以下の通りです。
1.著作者は、写真画像の隅に著作者名の表示として氏名表示部分を付していた。
2.リツイートによって、ツイッターのシステムの仕様に従い表示画像がトリミングされた形で表示され、氏名表示部分が表示されなくなった。
3.リツイート記事中の各表示画像をクリックすれば、氏名表示部分がある元画像を見ることができるが、各表示画像が表示されているウェブページとは別個のウェブページに氏名表示部分がある。
4.ユーザーは各表示画像をクリックしない限り、著作者名の表示を目にすることはない。
5.ユーザーが各表示画像を通常クリックするといえるような事情もうかがわれない。
6.「そうすると、本件各リツイート記事中の本件各表示画像をクリックすれば、本件氏名表示部分がある本件元画像を見ることができるということをもって、本件各リツイート者が著作者名を表示したことになるものではない」(判決文より抜粋)
7.よって、リツイート者は、リツイートにより氏名表示権を侵害した。

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