知財戦略コンサルシンポの感想

知財戦略コンサルシンポの感想
「知財戦略コンサルティングシンポジウム2010~中小企業における知財経営の定着に向けて~」(みずほ情報総研)
知財戦略コンサルティングシンポジウム2010の話。
先日は、踏み込むのも地雷になると思って敢えて伏せていたのだが、それはそれで面白くあるまいと、もう一歩踏み込んだ感想を書いてみることにした。といっても、1事例だけ。
さて、参加者の方には分かると思うが、新規事業に参入する企業に対するコンサルタント事例があった。で、その課題として、「出願件数が膨大」と「大手先行企業の存在」が挙げられていた。この内、出願件数が膨大との課題については、5千-1万件/年という数字が挙がっており、確かに、当該技術分野においてはその位であろうと首肯する。
が、あくまで当該技術分野全体の数字である。
私の記憶(3-4年前)が正確であれば、当該技術分野は既に成熟しており、ゼロから開発をする形での参入は考えにくい。であれば、コア部分は他社製品を購入して使うのが、通常の参入方法ではないかと想像する。
※例えば、某電気量販店経由の話であるが、近年参入したH社の中身はC社製品であるという。ただし、家庭用機器の例なので、参考にはならないかもしれない。
とすると、コア以外の部分(例えば、制御等)を調査対象とすることが、まずは優先されるべきであろうと考える。結局、発表内容においても重点技術のみの調査に絞っていたので、結論が変わるわけではなかろうが、当初アプローチには違和感を感じた。
なお、言うまでもなく部品を買っているから安全とは言い切れない。そのため、安全性の視点から技術の全分野を考慮対象としたことも考えられるし、実際にゼロからの開発である可能性もないとは言えまい。いずれにしても、自社開発する部分の特定という視点が報告から抜けているのは不安である。もちろん、そういう背景を隠す目的で、意図的に不要情報を紛れ込ませた可能性もあろう。
ところで、本事例では、安全性の観点からオーソドックスな「特許調査+特許網構築」という守りと攻めの戦略を採用したらしい。しかし、調査能力も出願件数もはるかに格上の大企業に対して、正攻法でどう事業を防衛するのかが非常に気になる。
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なお、本日の本室更新は「商標法44条」です。
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