弁理士試験-翻案と同一性保持権

翻案と同一性保持権
著作権法、同一性保持権侵害 – Let’s Go!!
2018/05/06 (Sun) 18:21:34
「小説家甲の著した近未来小説について、脚本家乙が、当該小説の設定を江戸時代に変更して、歌舞伎の脚本を創作する行為は、甲の同一性保持権を侵害する」
という問題ですが、これは、アイデア盗用・借用の問題であり、表現の問題ではないと考えて、アイデア保護法ではないので、権利行使はできず「☓」と思いますが、(中山著作P.506)では、侵害説のようです。
ここら辺は、スッキリ理解できるような考え方はないものでしょうか?
Re: 著作権法、同一性保持権侵害 – 管理人
2018/05/07 (Mon) 11:55:28
H27問48枝2の問題ですね。
疑問の部分は、この問が翻案なのか、アイディアの利用なのかという点であると思います。
翻案であれば、近未来小説の本質的な特徴の同一性が維持されているわけですから、アイデア盗用・借用という程度ではありません。
そして、問題の内容からすると、本質的な特徴の同一性が維持されていると推測されます(維持されていないならば脚本化する意味がない)。
したがって、アイデア盗用・借用の問題ではありません。
また、同一性保持権は、人格権であり、創作者としての感情を守るための権利です。
そのため、意に反する変更であれば、創作者としての感情を害するため、権利侵害となり得ます。
本問では、歌舞伎でしたが、仮にアダルト動画等であれば、創作者としての感情を害することが容易に想像できるかと思います。
Re: 著作権法、同一性保持権侵害 – Let’s Go!!
2018/05/07 (Mon) 14:09:48
過去問でしたか。TAC(早稲田経営出版)本の解説が、充実している感じでした。パロディ・モンタージュ写真事件(マッドアマノ事件)の判例から、「表現形式上の本質的特徴を維持しつつ、その外面的表現形式に変更を加える云々」とありました。「似てる、パロディだ」と思われたら「負け(侵害成立)」ということでしょうか? 
「似てない」「似てる」は主観的な所もあるので、むつかしい所でしょうか?
実際上は、アイデアを使う分には、良いという点での争いと思いました。
対応、ありがとうございました。
Re: 著作権法、同一性保持権侵害 – 管理人
2018/05/07 (Mon) 14:57:05
「似てる、パロディだ」と思われたら「負け(侵害成立)」ということではないです。
パロディの方に本質的特徴が含まれているか否かです。
本質的特徴が含まれていて、且つ意に反する変更があれば同一性保持権の侵害となり得ます。
【関連記事】
「H27年短答試験問48」
↓クリックありがとうございます。
にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ

なお、直近の本室更新は「H30年短答試験短答特実09」です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました