弁理士試験-特29条の2と国内優先権について

特29条の2と国内優先権について
29条の2と国内優先権について – 受験生
2016/04/04 (Mon) 12:39:59
29条の2と国内優先権について質問させてください。
長文となりすみません。
■問題
1、甲は、請求項に発明イを記載して出願Xをした。
2、その後、乙は、イが請求項に記載された出願Zをした。
3、甲は、Xを基礎として適法に国内優先権を主張して、出願Yをした。
  ここで、Yの請求項にはイが記載されている。
4、Yは出願公開された。
このとき、Zは、Xを引例として29条の2で拒絶されます。(43条1項、29条の2)
■疑問点
ここから、疑問なのですが、Zは、「Y」を引例として、
29条の2で拒絶されるのでしょうか?
条文のみからだと、29条の2の「他の出願」も41条2項で、優先権の利益が得られると思います。とすると、Yを引例として、29条の2で拒絶されるようにも思われます。
①予備校Tは、Zは、Yを引例として29条の2で拒絶されるとしています。
②しかしながら、予備校Lは、Zは、Yを引例として29条の2で拒絶されないとしています。(29条の2について、41条2項の利益を受けられるのは「当該出願」についてで、「他の出願」は利益を受けられないという解説だったと思います。)
また、審査基準(第III 部 第3 章 拡大先願 6.1.3)では、
Xと、Xを基礎として優先権を主張するYとがある場合、
Xを引例として、29条の2が適用されると記載があります。(41条3項)
一方、Yを引例として、29条の2の適用がある旨の記載がありません。
とすると、②が正しいと思われます。
■質問
この理解で正しいでしょうか?
また、この根拠がどこかに記載されていましたら教えてください。
Re: 29条の2と国内優先権について – 管理人
2016/04/05 (Tue) 12:06:23
どちらも間違ってるとは言えないですね。
法的な引例は基礎出願である先願ですが、実際に記載事項の認定に際して参照されるのは国内優先権の主張を伴う後願になります(先願は未公開であるため公開公報が存在しない)。
ざっくり言えば、拒絶理由通知書には後願の公開公報に基づいて、先願との重複箇所部分の記載事項が認定されるため、実質的には後願の公開公報が引例として引かれますが、形式的には先願が引例となります。
例えば、不服2007-3567号の拒絶査定不服審判事件では、
※http://tokkyo.shinketsu.jp/decision/pt/view/ViewDecision.do?number=1208776
本願 :特願2001-354417
出願日:平成13年11月20日
に対して、
引例 :特開2003-212540
出願日:平成13年12月21日
優先日:平成13年11月16日(特願2001-351503)
公開日:平成15年7月30日
を引例として、特29条の2違反の拒絶理由が拒絶査定不服審判において通知されています。
その中では、本願の出願前の他の出願であって、その出願後に出願公開された特願平2001-351503号(基礎出願である先願)に記載された事項(公開擬制された事項)を、同出願を国内優先権の主張の基礎とする出願である特願2001―389879号(国内優先権の主張を伴う後願)の公開公報である特開2003-212540号公報を参照して認定しています。
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