無効審決取消後の訂正審判
本ブログは独学の弁理士講座の別室です。
なお、本日の本室更新は「お休み」です。
181条2項と134条の3の関係 – 困った困った
2009/11/02 (Mon) 18:54:05
これに関連して質問します。無効審判に対する請求棄却審決に対して特許権者が審決取り消し訴訟を提起してさらに訂正審判をしたとします。裁判所は決定をもって裁量で無効審決を取り消すことができる(181条2項)とされています。この際、訂正審判はが継続しているのでしょうか。無効審決の取り消しが確定するまでは当該審判は継続するのでしょうか。どこかで訂正審判が中止するような記載があったようにも思えるのですが・・。134条の3第2項但し書きに書いている訂正審決が確定した場合という状況もよくわかりません。教えてください。
Re: 無題 – kaeru
2009/11/03 (Tue) 12:34:08
困った困ったさん
>無効審判に対する請求棄却審決に対して特許権者が審決取り消し訴訟を提起してさらに訂正審判をしたとします。裁判所は決定をもって裁量で無効審決を取り消すことができる(181条2項)とされています。この際、訂正審判はが継続しているのでしょうか
→訂正審判が確定していなければ継続していますよ。
しかし・・・
訂正によって無効理由が解消すると審判官が認められるなどの事情がある場合は当事者の意見を聞いて無効審判に差し戻すことができます。
その際特許権者が訂正して無効理由を解消する意思がある場合訂正の機会を与えることができます(134条の3第1項)。
しかし訂正審判が確定している場合には訂正の機会を与える必要がない(134条の3第2項但し書)のです。
(キーワードは181条の「決定」と「審決」の違い)
訂正請求は審判長の裁量次第(134条の3第1項)
→134条の3第1項の訂正と126条2項のカッコ書きの訂正審判の内容は実質的に同一であると考えられる
→援用規定(134条の3第3項)
⇔訂正請求と訂正審判を併用する意味がない
訂正審判は時期的要件を満たせば請求できる(126条カッコ書き)。
しかし無効審判継続中は訂正審判は請求できない(126条2項)
→訂正請求が認められるため(134条の2)
→無効審判に差し戻されたら訂正審判は請求できない
重要なことは「無効審判」と「審決取消審判」を混同しないことです。
時系列で整理してみてください。
Re: 無題 – kaeru
2009/11/03 (Tue) 12:39:21
「審決取消審判」
→おっと,審決取消訴訟でした。
Re: 無題 – 管理人
2009/11/03 (Tue) 13:00:23
kaeruさん。
いつもありがとうございます。
無効審判に対する請求棄却審決(つまり、特許維持審決)に対して、特許権者が審決取り消し訴訟を提起する理由がよく分かりませんが(訴えの利益がないかもしれないです。)、一応回答します。
さて、訂正審判が係属するのは、kaeruさんがおっしゃるとおりです。
しかし、特134条の3第5項により、訂正審判の請求書に添付された訂正した明細書等により訂正の請求がされたものとみなされます。
そして、特134条の3第4項により、訂正審判の請求が取り下げられたものとみなされます。
そのため、この時点になると、訂正審判は特許庁に係属していません。
また、訂正審判が中止されるのは、特168条に基づき必要であると認められた場合ですね。
無効審判での訂正請求手続きが予定されているので、訂正審判の審理を中止するという具合です。
最後に、特134条の3第2項但し書きの訂正審決が確定した場合とは、審理が短期で終了して差し戻し前に訂正審決が確定した場合等のことです。
なお、kaeruさんがおっしゃる通り、特134条の3第1項の訂正請求機会を与えるか否かは、審判長の裁量です。
一方、特134条の3第2項の訂正請求機会は、指定しなければならないものですので、注意して下さい。
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