弁理士試験-小僧寿し事件について

小僧寿し事件について
小僧寿し事件に関連して – あやパパ
2016/04/19 (Tue) 06:50:36
①甲は商標イについての商標権者である。
②甲は商標イを過去から現在まで全く使用していない。
③乙は商標イを権原なく指定商品と同一の商品に使用している。
④不使用取り消しや26条、先使用などの抗弁は考えない。
ここで、
⑤甲が乙に38条3項により損害賠償請求の訴訟を起こした。
⑥”甲には損害の発生があり得ないため、損害賠償の責めを免れることができる”旨の主張を乙がしたとして、
乙の主張は認められるか
という問題について教えてください。
解答例では、
甲は、イを、現在に至るまで一切使用していないので、当該登録商標に顧客吸引力が認められず、第三者の売り上げに全く寄与していないことが明らかである。
とされていました。
どうも私が小僧寿し事件を誤解していたように思えます。
①のようにこれまで考えていて、②のように考え直しています。どうなのか、教えてください。
①誤解?:”商標イを使っているけれども、あくまで補助的に使うなどしていて、顧客吸引力も売り上げへの貢献はなく、別の商標である例えば商標ロがこれらの役割を担っている”場合には商標イの効力は及ばない。将来甲が商標イを使う可能性もあるので、基本的には、商標イが使われているいないに拘わらず(取り消し審判の可能性は置いておいて)、商標権の効力は及ぶ。
①-2:誤解その2:特許法、商標ともに不使用でもライセンス料は取れる。但し、商標法では、商標の使用で顧客吸引力がなく売り上げにも貢献していないような使用形態の場合には、ライセンス料は取れない。
②どうやらこれが正しい?:顧客吸引力や売り上げ貢献の意味するところは、”商標権者の商標イの使用によって蓄積されている商標の顧客吸引力に便乗して、商標イを使用することにより、売り上げに貢献させている”、といったケースで、不正競争にあたるようなものを想定している。
②-2:特許法では使用をしていなくてもライセンス料相当額は取れる。商標法では、便乗の不正競争が念頭にあるので、商標権者が商標を使っていることがライセンス料相当額を取る要件となりえる。
質問の意味が通じることを祈ります。日本語がおかしいとのこと申し訳ありません。
Re: 小僧寿し事件に関連して – 管理人
2016/04/19 (Tue) 15:07:44
『どうなのか、教えてください?』
って聞かれると、『むずかしく考えすぎです』が答えになっちゃいますね。
さて、小僧寿し事件を簡単に説明すると、登録商標「小僧」と類似する著名商標「小僧寿し」を使用していたとしても、「小僧寿し」の著名性ゆえに商品が購入されており、「小僧」に顧客吸引力がない場合は、損害の発生していないことが明らかであり損害賠償義務はない(損害不発生の抗弁)。
つまり、損害額が0円なので賠償しなくともよいということです。
(判決文を読んだ方がよいかも?)
で、問題に戻ると侵害者乙は登録商標イに係る商標権を侵害しているが、商標権者甲が登録商標イを現在に至るまで一切使用していないので、当該登録商標に顧客吸引力が認められず、損害の発生していないことが明らかであり損害賠償義務はない、というだけです。
なお、特許の場合は、侵害者が実施するだけで技術的効果(例えば、コストダウンとか)を奏するため、特許権者が実施していなくとも実施料相当額の損害(不法利得)が発生します。
一方、商標の場合は、侵害者が使用するだけでは損害(不法利得)が発生せず、使用した結果として顧客が吸引された場合に実施料相当額の損害(不法利得)が発生します。
蛇足ですが、特許の場合でも、実施しても技術的効果を奏することがないような発明であれば、実施料相当額の損害不発生の抗弁を主張できるかもしれません。
Re: 小僧寿し事件に関連して – あやパパ
2016/04/20 (Wed) 01:26:55
管理人さん、ありがとうございます。②に近い感じですね。
小僧寿し事件は最後のエッセンスだけを学んでいて、事件全体が分からないで考えていて、泥沼にはまった感じですね。
小僧寿しチェーンが”どうでもよいような商標”を使っていて訴えられたのかと勝手に思っていました。
登録商標が”小僧”だったとは。訴える人もこずるいし、商標って面白いですね。
Re: 小僧寿し事件に関連して – 管理人
2016/04/20 (Wed) 11:42:42
②は明らかに間違ってます。
つまり、原則として、商標権者、使用権者のいずれもが使用していない場合でも損害賠償は認められます。
ただし、登録商標に顧客吸引力が全くみとめられず商品の売り上げに全く寄与しないことが明らかな場合は、得られるべき利益としての使用料相当額の損害も生じていないと解されるので、損害賠償は認められないという例外があるだけです。
例えば、2020東京オリンピックのロゴは、現在使用されていなくとも顧客吸引力があるでしょうし、外国でのみ使用されている著名商標にも顧客吸引力はあるでしょう。
Re: 小僧寿し事件に関連して – あやパパ
2016/04/23 (Sat) 14:24:51
管理人様、最後までおつきあいいただきありがとうございます。なるほど、です。
ワールドワイドでシンプルに考えることが肝要のようですね。
今後とも宜しくお願いいたします。
Re: Re: 小僧寿し事件に関連して – 受験生
2016/05/02 (Mon) 22:19:48
補足ですが、
短答H15-25-2に、38条3項で、原則、使用していなくとも損害賠償が認められるという問題がありました。
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