弁理士試験-冒認出願の先願の地位

冒認出願の先願の地位
冒認出願の先願の地位 – にゅうた
2015/01/19 (Mon) 08:00:43
お世話になっております。
短答の勉強中なのですが、冒認出願の先願の地位について混乱しております。
よく、移転請求の話に関連して「冒認出願にも先願の地位がある」という文言を見ます。
しかしながら、下記の問題では「冒認出願は拒絶される為39条に規定する先願の地位は有しない」とされています。
甲は自らした発明イについて学会で発表した後、発明イについて発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けた特許出願Aをした。乙は、学会での項の発表によって発明イを知って、特許を受ける権利を甲から承継せずにAの出願の日前にイについて特許出願Bをした。その後、A及びBは、いずれも出願公開された。この場合、出願Bは出願Aに対して29の2に規定するいわゆる拡大された範囲の先願の地位も、39条に規定するいわゆる先願の地位も有しない。
冒認出願は拒絶理由に含まれていますので、過誤登録がない限り、冒認出願は拒絶されます。
そして39条に拒絶査定が確定した出願は先願の地位はないと書かれていますので、冒認出願が先願の地位を有することはない・・・とはならないのでしょうか?
Re: 冒認出願の先願の地位 – 管理人
2015/01/19 (Mon) 12:20:45
H20問15枝2の問題ですね。
さて、従来は冒認出願が看過されて登録されても先願の地位を有しないものとされていました。
しかし、H23年改正により真の権利者は冒認出願に係る特許権を移転請求権の行使により取得することが可能となったため(特74条)、冒認出願が看過されて登録されても先願の地位を認めることとされました。
つまり、冒認出願が過誤登録された場合を考慮して、先願の地位を認めているのです。
そのため、ご質問のように「過誤登録がない限り、冒認出願は拒絶されます・・・冒認出願が先願の地位を有することはない」は、法改正の趣旨からして前提が誤っています。
なお、問題の冒認出願Bは、学会発表により特29条1項3号で拒絶されるため、特39条5項により先願の地位がなくなりますが、冒認出願を理由として拒絶されると考えてもよいと思います。
Re: 冒認出願の先願の地位 – にゅうた
2015/01/20 (Tue) 07:47:18
ご返信ありがとうございます。
つまるところ、
・冒認出願は基本は拒絶されるので先願の地位はない
・ただし誤って登録されたときは、先願の地位を有する。
 つまり本来の特許を受ける権利を有する者や他の第3者がその発明について特許出願をしても、先の冒認出願を先願として拒絶されてしまう
(というかその冒認出願の内容は公開されているだろうから、そもそも新規性欠如になる?)
H23年改正の趣旨を見直してみます。
ありがとうございます。
Re: 冒認出願の先願の地位 – 管理人
2015/01/20 (Tue) 12:22:11
「冒認出願は基本は拒絶されるので先願の地位はない」ですが、正確には「冒認出願は原則では拒絶されるので先願の地位はないが、審査官が気づくことはないので、登録されて先願の地位を有することとなる」かと思います。
なお、本来の特許を受ける権利を有する者がその発明について特許出願をしても、先の冒認出願により拒絶されてしまうので、冒認であることを主張して先願の拒絶査定を確定させる必要があります。
また、冒認出願の公開後は、本来の特許を受ける権利を有する者(真の権利者)であっても、新たに出願して特許を得ることはできません。
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