共同出願違反時の拒絶査定不服審判
過去問で・・・ – カズ
2010/01/16 (Sat) 08:29:53
甲、乙の共有に係る特許権につき、甲が、特許権の存続期間の延長登録の出願をし、いわゆる共同出願違反との理由により拒絶をすべき旨の査定を受けたとき、この拒絶査定不服審判の請求が甲単独で行えるのは、何故でしょうか?
特132条3項の規定の適用はないのでしょうか?
Re: 過去問で・・・ – 管理人
2010/01/17 (Sun) 00:26:25
共同出願違反である旨の拒絶査定に対して不服がある場合に、審判請求人である甲のみで拒絶査定不服審判を請求できないとすると、拒絶査定を受けていない乙は審判請求できませんので、不服申し立て手段が無くなってしまいます。
しかし、査定に過誤がある場合もあるため、拒絶査定に対して不服申し立て手段がないということは妥当ではありません。
そのため、甲単独で拒絶査定不服審判を請求できるのです。
なお、甲が単独で出願しているため、出願(例えるならば、延長登録を受ける権利)は共有されておらず、特132条3項の規定の適用はないと思われます。
Re: 過去問で・・・ – ペンキ
2010/01/17 (Sun) 16:02:05
本事案は、前段で「甲、乙に共有に係る特許権につき」とありますので、特許権が甲及び乙に係ることは明らかですので、特132条3項により、この拒絶査定不服審判の請求は、特許権の共有者である甲、乙が共同して行わなければならないと解される可能性がなくはありません。
しかし、特許出願に対する拒絶査定は、特許出願に係る発明に特許権を付与しない行政処分であって、これにより不利益を受けるのは当該特許出願人自身ですから、通常、当該特許出願人以外の第三者が拒絶査定を争う利益を有するものではなく、このような観点から、特121条1項は、拒絶査定に対する審判請求人を「拒絶にすべき旨の査定を受けた者」に限定しているものであると考えます(東京高裁、平成6年6月7日審決取消訴訟事件判決)。特許権の存続期間の延長登録の出願も、通常の特許出願同様、審査官により審査され、特許権を延長すべきか否かの行政処分を行うものです。
したがって、本事案の場合、甲は本件特許権の存続期間の延長登録の出願に対し拒絶査定を受けた者ですから、拒絶査定不服審判を請求する利益を有するものと考えます。
よって、当該審判は、甲が単独で請求できるものと考えます。
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