弁理士試験-H20年問い15(1)

H20年問い15(1)
本ブログは独学の弁理士講座の別室です。
なお、本日の本室更新は「商標法第9条の4」です。
H20-15(1)について – ようこ
2009/11/21 (Sat) 14:12:33
最近勉強を始めたものです。
甲は乙よりも先に発明イについて出願(実用新案登録出願)していたのに、
特許出願に変更したばっかりに、発明イについて権利を得ることができなくなったのですよね?
もし変更しなければ、乙の出願Cは、甲の実用新案登録出願Aにより拒絶されたはずですよね。
甲が権利を得るためにはどうすればよかったのでしょうか、
実用新案登録出願Aが登録され、実用新案掲載公報が発行されるのを待って特許出願に変更すればよかったのでしょうか?
そうすれば、実用新案登録出願Aを「拡大された範囲の先願」として、乙の出願Cを排除できますか?
Re: H20-15(1)について – kaeru
2009/11/21 (Sat) 22:29:31
ようこさん
実用新案登録出願から特許出願への出願変更が適法であれば(特46条,準特44条2項)BはAの出願時に出願日が遡及します。しかし,本問の場合は出願変更が適法でないため「他の出願」に該当し,現実のBの出願時にされたものとみなされます。したがって,29条の2の適用はないと考えられます。また,Bに係るイは特許請求の範囲に記載されていないことが明確なため39条の適用はありません。ちなみに,Aはみなし取り下げとなります(特46条4項)。
本問において,出願変更の要件を満たしていればBはAの出願日にしたものとみなされ,Cを排除できたと考えられます。
ちなみに,実用新案登録出願Aの実用新案登録請求の範囲にイが記載されて設定登録された(実14条2項,特39条,特49条2号)、又は実用新案公報にイが公表された場合もCを排除できたと考えられます(特29条の2)。ただし,実用新案法に出願公開制度はありませんので注意が必要です。
ところで,「甲が権利を得るため」と「拡大された範囲の先願」は別ですので混同しないよう注意が必要です。
キーワード 他の出願 出願変更 出願公開 
過去問の解説を参照したわけではないので詳しくは市販の解説をお読みください。
Re: H20-15(1)について – 管理人
2009/11/22 (Sun) 12:09:05
kaeruさん
ご回答ありがとうございます。
ところで、本問の場合、題意より変更出願は適法に行われたものと思われますが、いかがでしょうか?
さて、私の解説によれば、下記の通りです。
「実用新案登録出願Aを、実用新案権の設定の登録を受ける前に特許出願Bに変更した場合、特46条4項によりもとの実用新案登録出願Aは取り下げたものとみなされるため、Aが設定登録されることはない。よって、実14条3項の実用新案公報に掲載されることもなく、特許出願Cは、Aをいわゆる拡大された範囲の先願として特許法第29条の2の規定により拒絶されることはない。また、特39条は後願の請求項に係る発明と先願の請求項に係る発明が比較されるところ、発明イはBの図面のみに記載されているので、CはBを先願として特39条の規定により拒絶されることもない。」
ポイントは、「Aに対する拡大された範囲の先願(特29条の2)」と「Bに対する先願(特39条)」を聞いているのであって、単純に拒絶されるか否かを聞いているのではない所です。
なお、過去問の解説も行っておりますので、ご質問前にご一読いただけると幸いです。
(http://benrishikoza.web.fc2.com/kakomon/h20tanto/h20tanto.html)
Re: H20-15(1)について – kaeru
2009/11/23 (Mon) 00:09:09
管理人様
う~ん・・・そう言われると自信がないような・・・。
しかし,出願変更の客体同一を満たすためには,変更後の特許請求の範囲に記載された発明が原出願の明細書等に記載されていることであったと記憶しております。
本問の場合,Bの特許請求の範囲にイは記載されていません。すなわちBは客体同一を満たさないため「他の出願」に該当しCは拒絶されません。
もし,Bが適法な分割出願であるならばBはAの出願日まで遡及し,Bを引例にCは拒絶されると思います(44条2項)。
なにかおかしいな・・・
Re: H20-15(1)について – 管理人
2009/11/23 (Mon) 02:36:43
kaeruさん
恐れ入りますが、「Bの特許請求の範囲に記載された発明がAの明細書等に記載されていない」というのは、問題のどの箇所から読み取れるのでしょうか?
本問の場合、Bの特許請求の範囲にイが記載されていないのは明らかですが、Bの特許請求の範囲に何が記載されているのかについては、不明だと思います。
なお、Bの特許請求の範囲にイが記載されていないのは明らかですので、特39条の適用はありません。
また、変更出願についての特29条の2の適用は、現実の出願日を基準に判断されますので(特44条2項)、この適用もありません。
Re: H20-15(1)について – kaeru
2009/11/23 (Mon) 09:17:25
管理人さん
問題文を読み直してみましたが出願変更が適法に行われたか否かは不明ですね。
単純に拒絶されるか否かを聞いているのではない所からすると管理人さんの解答が正しそうですね。
ちなみにBにかかるイを引例にCが拒絶されることもないということですね。
いや~いつまでたっても管理人さんに勝てそうもないですな。
ところで質問者のようこさんを無視して議論をしてしまいましたが大丈夫だったでしょうか?
Re: H20-15(1)について – 管理人
2009/11/23 (Mon) 12:21:44
kaeruさん。
いつもいつも感謝しております。
これからもバンバン投稿してください。
ところで、一応念のため。
問題文から明らかな場合と、特に指定された場合を除き、問題文の法律行為は適法に行われたものと考える方が安全です。
本問の場合も出願Cが適法でない可能性などを考え始めると、きりがなくなります。
なお、本問ではBによりCが拒絶されることはありませんが、補正により出願Bの特許請求の範囲に発明イが記載されれば、拒絶されることも有り得る点に留意が必要です(特39条)。
ただし、本問については補正の可能性が否定されていますので、考慮する必要がありません。
最後に、質問者さんの意図しないところで議論が進むことはよくあるので大丈夫だと思いますが、ようこさんにも伝わっているといいですね。
Re: H20-15(1)について – ようこ
2009/11/23 (Mon) 14:03:53
管理人様、kaeru様、ありがとうございます。
本問のポイントが、「Aに対する拡大された範囲の先願(特29条の2)」と「Bに対する先願(特39条)」であることは理解しています。
少し質問を変えます。
「実用新案登録出願Aが登録され、実用新案掲載公報が発行されるのを待って特許出願に変更すれば、実用新案登録出願Aを「拡大された範囲の先願」として、乙の出願Cを排除できますか?」
以上、よろしくお願い致します。
Re: H20-15(1)について – 管理人
2009/11/23 (Mon) 17:01:22
ようこさん
それについては、すでにkaeruさんがご回答している通りです。
つまり、「実用新案公報にイが公表された場合もCを排除できたと考えられます(特29条の2)。」言い換えれば、出願Aを引例に、拡大された範囲の先願として、乙の出願Cが排除されます。
なお、公報発行後に実用新案権が放棄されても拡大先願の地位は残ります。
【関連記事】
特46条の2での出願日不遡及
特46条の2の遡及効
管理人応援のために↓クリックお願いします。
  にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ ←本日3位です。ご協力お願いします!
 弁理ブログランキング
   ←本日1位です。ご協力ありがとうございます!
 
↓弁理士試験ならLECオンライン↓

弁理士サイトはこちら

コメント

タイトルとURLをコピーしました