弁理士試験-新規性喪失の例外-意匠

新規性喪失の例外-意匠
意匠の新規性喪失の例外 – 子羊
2010/01/24 (Sun) 18:54:18
毎度お世話になります。意匠4条の条文解釈について教えてください。
本条では、「公開意匠と出願意匠が同一、類似、非類似等に関わらない」と解釈するようですが、本条では3条1項3号に該当する場合は規定されていないので、素直に読むと公開意匠と類似する出願意匠の場合は適用できないと思います。
なぜ3条1項3号に該当するに至った意匠は本条に含めていないのか、お分かりになるでしょうか?
(あるいは、暗記してしまった方が良いでしょうか?)
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – るいた
2010/01/24 (Sun) 19:52:54
 僕も初学者なんで見当違いかもしれませんが、新規性喪失の例外は公開された意匠については公開されたとみなされなかったとするだけなので類似の意匠でも出願できるって事ではないのでしょうか?
 つまり、「木彫りの熊」に新規喪失例外を適用して「ダルマ」の意匠を提出しても「木彫りの熊」については公知じゃないとみなされるだけで、実際公開したものと出願したものがどういう関係かは決められてないという事だと思います。
 つまり、同一の意匠は公開できても類似の意匠はどうがんばっても公開することができないので3条1項3号は含めてないのではないでしょうか?単に僕がこう解釈してるだけなので間違ってたらすいません。
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – 子羊
2010/01/24 (Sun) 23:26:03
るいたさん、ご回答ありがとうございます。
確認したいのですが、「木彫りの熊」を公開して、その後6ヶ月以内に「木彫りの熊」を出願した場合に「木彫りの熊」は3条1項2号の新規性喪失を免れる事が出来る、というのが4条2項の趣旨だと思いますが、
「木彫りの熊」に類似した「ダルマ」を出願した場合は、3条1項3号に該当すると思います。
この場合でも4条が適用されて、当該ダルマは先に公開された類似意匠「木彫りの熊」によって新規性喪失する事を免れる、という理解で正しいですよね?
上記の理解が正しいなら、なぜ条文上も「3条1項1号または2号“または3号”に該当するに至った意匠…」と明定しないのかな?と疑問に思った次第です。
何か誤解があれば教えていただきたく。
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – 小生
2010/01/24 (Sun) 23:44:19
【3条1項3号に該当するに至った意匠は本条に含めていない理由】3条1項1号および2号はいわゆる公知意匠について登録を認めない旨の規定であるのに対し、同項3号は、(意匠権の効力が類似範囲に及ぶため)公知意匠に「類似する」意匠について登録を認めない旨を規定するものです。すなわち、3号に該当する意匠は、公知意匠ではありません。
したがって、新規性を喪失した意匠として4条に規定されているのは、「3条1項1号および2号」のみで、公知意匠ではない3号は除外されています。
【「公開意匠と出願意匠が同一、類似、非類似等に関わらない」の解釈】4条で「同条第一項及び第二項の規定の適用については、同条第一項第一号又は第二号に該当するに至らなかつたものとみなす」と規定されている部分の解釈と思われます。
これは、新規性を喪失した後に出願する意匠が、公知意匠との関係で新規性欠如(3条1項1号から3号)のみならず、創作容易性欠如(3条2項)を理由に拒絶されないということです。
仮に、出願意匠が公知意匠と非類似であることを理由に新規性喪失の例外を認めない場合は、新規性をクリアできても、創作容易性をクリアできない場合があり、これを理由に拒絶されてしまうと4条を規定した意味がなくなるため、公知意匠と出願意匠の類否は問わないと解釈されます。
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – 子羊
2010/01/25 (Mon) 00:01:44
小生さん、ありがとうございます。
だいぶ理解が深まりました。
条文の文言そのまま読むと未だに違和感があったりしますが、その趣旨や目的等は理解できましたので、正しい解釈は出来そうな気がします。
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – 子羊
2010/01/25 (Mon) 00:19:35
(念のため、追記させてください)
以下の例でも4条が適用される訳ですよね。
「木彫りの熊」を公開して、その後「木彫りの熊」とは非類似だが、それから容易に創作できる「ダルマ」を出願した場合、当該出願は3条2項に該当するが、4条2項が適用されて、「木彫りの熊」からの創作容易性による拒絶を免れる事ができる。
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – 管理人
2010/01/25 (Mon) 00:54:11
るいたさん、小生さん、ご回答ありがとうございます。
補足させて頂きますと、まず、意3条1項3号では、公知意匠の類似意匠が登録できない旨を規定しており、同2項では、公知意匠から創作容易な意匠が登録できない旨を規定しております。
そして、意4条1,2項では、意3条1項及び2項の判断において、新規性喪失の例外が適用される対象の意匠が公知に至らなかったものとみなされる旨が規定されています。
つまり、対象の意匠は、意3条2項の判断において公知意匠から除外されるのと同様に、意3条1項3号の判断においても公知意匠から除外されるのです。
なお、「木彫りの熊」と「ダルマ」の例では、新規性喪失の例外適用により登録を受けうると解釈します。
Re: 意匠の新規性喪失の例外 – ペンキ
2010/01/25 (Mon) 15:01:10
>【「公開意匠と出願意匠が同一、類似、非類似等に関わらない」の解釈の立法趣旨について
意匠は、カタログの配布、商品の展示、見本の頒布等により売れ行きを打診してみて一般の需要に適合するかを判断することが商慣行上多く行われていますが、様々なバリエーションの意匠の各々が公表された場合には、それらの意匠について新規性喪失の例外規定を申請して意匠登録出願を行ったとしても、平成11年の一部改正前の意匠法においては、新規性喪失の例外規定の適用を受けられるのは新規性を喪失した意匠と実質的に同一の意匠が出願された場合のみであり、自己の発表した他のバリエーションの意匠が出願された場合には、新規性を喪失した意匠に類似するもの又は新規性を喪失した意匠に基づいて容易に創作でしたものであるとして、意匠登録を受けることができない場合が生じていました。
そこで、平成11年の一部改正において、特許法と同様に、新規性を喪失した意匠と同一の意匠が出願された場合だけでなく、それに類似する意匠及びそれに基づいて容易に創作することができた意匠が出願された場合にも、新規性喪失の例外規定を適用てきることとしたものです。
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