以下に、職務発明取扱規程例を掲載するが、これは一例に過ぎず、特許法第35条に適合すること、及び現実の職務発明等を取り扱うために必要十分であることを保証するものではありません。実際に職務発明取扱規程を策定・改定するに際しては、弁理士等の専門家の見解を仰ぎ、企業毎に適した規程及び制度を策定して下さい。なお、本職務発明取扱規程例では、汎用性を高めるために細かい手続的規程は別途細則にて定めるという形式を採用しています。
第15条 (制限行為)
職務発明等又は業務発明等を創作した従業者等は、その発明等について、特許出願等をし、実施し、実施権を設定又は許諾し、又はその発明等に係る特許等を受ける権利を第三者に譲渡してはならない。ただし、会社の許可を得た場合、又は第8条第1項に定める協議を経た後は、この限りではない。
解説
・公表等の禁止は第14条にて定めている。
・いわゆる自由発明については制限できない点に留意が必要である(制限条項を設けても無効である)。
・特許を受ける権利を目的とする質権設定の解禁が検討されているため、質権設定を制限する条項も考えられる。この場合、「その他特許等を受ける権利について(又は特許等を受ける権利を目的として)いかなる権利も設定又は許諾してはならない。」との条項が考えられる。
・仮専用実施権又は仮通常実施権については、出願後の事情であるため、出願を制限するのみでも「仮専用実施権の設定又は仮通常実施権の許諾」を制限可能である。
・発明者原始取得の場合、「第4条第2項に定める特許等を受ける権利を会社が取得しない旨の決定の通知を受けた後」を追加する。
例文
仲裁センター例:第19条 (制限行為)
従業者等は、会社が職務発明でない旨の認定をし、又は権利を承継しない旨の決定をするまでは、これを公表し、当該発明について自ら特許出願をなしたり又は当該特許を受ける権利を第三者に譲渡してはならない。
発明協会例:第18条
会社は、第5条第1項の規定により、職務発明でないと認定した発明について、発明者が特許を受ける権利または特許権を第三者に譲渡しようとするときは、発明者と事前に協議するものとする。
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