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R01年短答意匠問03
意匠法に規定する登録要件に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
なお、各設問で言及した条文の該当性のみを判断し、他の登録要件は考慮しないこととする。また、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、秘密意匠に係るものでも、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願でも、冒認の出願でもなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されておらず、査定又は審決が確定しておらず、いかなる補正もされていないものとし、また、名義変更、秘密にする期間の変更は行わないものとし、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例を考慮しないものとする。
枝1
1 甲は、受信用の反射鏡に支持具を取り付けた「パラボラアンテナ」の意匠イを創作して、意匠イの全体意匠と、意匠イの「反射鏡の部分」のみを「意匠登録を受けようとする部分」とした部分意匠「パラボラアンテナ」の意匠ロを出願した。意匠ロは「技術的な機能を確保するために必然的に定まる形状である」とされ、その出願は、意匠法第5条の規定により拒絶された。この場合、意匠イに係る出願は、意匠法第5条の規定に該当することを理由としては拒絶されないことがある。
解答
◯ 部分意匠に対する意5条3号の規定の適用については、「意匠登録を受けようとする部分」の形状のみを判断の対象とするが、全体意匠は全体の形状も判断の対象とされるので拒絶されないことがある。
枝2
2 甲が、「のこぎり」の意匠イについて意匠登録出願Aをした後に、乙は意匠イの「のこぎり」を構成する「のこぎりの柄」に類似する「のこぎりの柄」の意匠ロについて意匠登録出願Bをした。その後、意匠イについて意匠権の設定の登録がされた。この場合、意匠ロの出願Bは、意匠イの存在を理由に、意匠法第3条の2の規定に該当するとして拒絶される。
解答
◯ 完成品の意匠の先願の出願後、公開前に当該完成品を構成する部品に類似する意匠が出願された場合、意3条の2の規定に該当するとして拒絶される。
枝3
3 甲及び乙が共同で「カメラ」の意匠イについて意匠登録出願Aをした後に、甲は単独で意匠イのカメラに取付けられた「レンズ」の意匠に類似する「レンズ」の意匠ロについて意匠登録出願Bをした。その後、意匠イについて意匠権の設定の登録がされた。この場合、意匠ロの出願Bについて出願人名義変更をして甲及び乙の共同の出願としなくても、意匠法第3条の2の規定に該当することを理由としては拒絶されることはない。
解答
✕ 後願の出願人と先願の出願人とが同一の者であるときは、意3条の2の適用がない(意3条の2かっこ書)が、共同出願の場合、全ての出願人が一致する必要があるので、共同の出願としなければ拒絶されることがある。
枝4
4 甲が、「腕時計のバンド」の意匠イについて、意匠登録出願Aをした後に、乙は意匠イに類似する「腕時計のバンド」を時計本体に組み込んだ「腕時計」の意匠ロについて意匠登録出願Bをした。その後、意匠イについて意匠権の設定の登録がされた。出願Bは意匠イの存在を理由に、意匠法第3条の2の規定により拒絶されることはない。
解答
◯ 「一部と」とあるので(意3条の2)、先願が構成物品であり、後願が全体意匠である場合は拒絶されない。この場合、意26条(他人の登録意匠等との関係)で調整される。
枝5
5 甲は、「鍋ぶた」をデパートで販売した。その後、乙は甲の「鍋ぶた」に取り付けられている「摘み(つまみ)」に類似する「摘み」の意匠イを創作し、意匠イについて「鍋ぶたの摘み」の意匠登録出願Aをした。この場合、出願Aは、甲が「鍋ぶた」を販売した事実を理由に、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当するとして拒絶される。
解答
◯ 全体意匠が公知(意3条1項1号)となった場合、その構成部品も公知となる。したがって、公知意匠に類似する意匠は、意3条1項3号の規定に該当するとして拒絶される。
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