R01年短答特実問02

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R01年短答特実問02

 特許権又は実用新案権の侵害に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

枝1

 特許権者は、故意又は過失により自己の特許権を侵害した者に対し、当該特許権の存続期間中に限り、その侵害により自己が受けた損害の賠償を請求することができる。

解答
 損害賠償(民709条)は知ったときから3年の短期消滅時効により消滅する(民724条)。よって、存続期間中に請求できないこともあれば、存続期間経過後に請求できることもある。

枝2

 特許権者は、過失により自己の特許権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その侵害した者がその侵害の行為により利益を受けていないときは、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額(以下「実施料相当額」という。)を超える損害を受けていたとしても、実施料相当額を超える賠償を請求することはできない。

解答
 自己が受けた損害の賠償を請求する場合、譲渡数量に侵害行為がなければ販売できた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額を損害額とすることができる(特102条1項)。よって、実施料相当額を超える賠償を請求できる。なお、特許権者が実施していない場合であっても、将来実施する予定がある等の特段の事情があれば、実施料相当額を超える損害の賠償を請求できる。

枝3

 実用新案権者は、その登録実用新案に係る実用新案技術評価書を提示して警告をした時から30 日を経過するまでの間は、自己の実用新案権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その権利を行使することができない。

解答
 実用新案技術評価書を提示して警告をした後であれば権利行使できる(実29条の2)。

枝4

 特許権の侵害に係る訴訟において、被告が、当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものであるとの主張をした場合に、その主張が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、その主張が時機に後れたものでなくとも、裁判所は、職権で却下の決定をすることができる。

解答
 無効の抗弁が審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は職権で却下決定できる(特104条の3第2項)。そして、時機に後れたものであるという要件はないので、時機に後れたものでなくとも却下決定できる。

枝5

 特許権の侵害に係る訴訟において、特許法第105 条の4に規定する秘密保持命令が発せられた場合には、その命令は、命令が発せられた時から、効力を生ずる。

解答
  秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から効力を生ずる(特105条の4第3項)。

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