最高裁判決の紹介:平成27年(受)第1876号
・平成27年(受)第1876号『商標権侵害行為差止等請求反訴事件』
電気瞬間湯沸器を独自に輸入して日本国内で販売していた上告人(商標権者)が、日本国内における独占的な販売代理店である被上告人から、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するなどとして、「エマックス」等の商標の使用差止め及び損害賠償等を求められた本訴に対して、当該登録商標に類似する商標の使用の差止め等を求めて反訴した事例です。
商4条1項10号該当を理由とする無効審判が請求されずに除斥期間(5年)が経過していたため、権利無効の抗弁の可否が争点の一つとなっていました。
これに対して最高裁は、
『商4条1項10号該当を理由とする無効審判が請求されないまま設定登録日から5年を経過した後であっても、当該商標登録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず、自己(被疑侵害者)の業務に係る商品等を表示するものとして出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であることを理由として、商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張できる。』
と判示し、高裁判決を破棄差し戻ししています。
除斥期間が経過していても、商標を著名にした本人であれば無効の抗弁(正確には権利の濫用)を主張できると言う点で新しい判断です。
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