知財業界のキャリアプラン
今日は弁理士の日です。
昨年に引き続き弁理士の日を勝手に盛り上げるために、
ブロガーの皆様にご協力いただき、共通テーマで記事を書いております。
さて、今年は「知財業界のキャリアプラン」について、「知財人材育成プラン」(知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会)に基づいて記事を書きたいと思います。
この「知財人材育成プラン」では、『技術力で勝りながら事業で負ける状況』を打破するために、総合的な知財マネジメントが必須となっていると述べています。また、そのためには、欧米企業に特徴的な『画期的な産業モデル・ビジネスモデルや知財・標準マネジメント』、新興国に特徴的な『ビジネスイノベーションの新潮流』(出願件数の急増)に対応することが必要であると共に、ボーダーレス化によって『国境を越えてシームレスにつながる・ネットワーク時代』に対応する必要があるとされています。そのために、高度で総合的・戦略的なイノベーションを作り出す知財マネジメント人財の必要性が述べられています。
そして、以下のような高度専門且つ広領域のマルチ知財人財のキャリアプランを提言しています。
①人財の高度専門化又は人財の専門領域拡大による、ハイグレード人財又はワイド人財の育成
②ハイグレード人財の専門領域拡大又はワイド人財の高度専門化による、マルチ知財人財の育成
③①、②の段階での国際競争力強化による、グローバル人財の育成
この提言を踏まえて、キャリアプランについて考えていきます。まず、提言をまとめると知財人材に必要な能力としては、複数の専門性と国際対応力とがあります。これを代理業務を行う弁理士について考えると、専門性は、A.出願権利化の専門性、B.調査の専門性、C.渉外の専門性とに分けられます、国際対応力は、D.外国語力とE.外国知財知識とに分けられます。そのため、キャリアプランとして、これらの能力を得て、最終的にグローバル人財に至るプランを考えます。
A.出願権利化の専門性について
出願権利化の専門性は、業務の処理スキルと、出願前の知財創出スキルとを含みますので、多数の出願をするような企業の知財部又は研究開発部での経験が有効です。すなわち、創作から権利化までの業務に関わる知識、経験を蓄積するような環境が望ましいと言えます。また、弁理士について考えると、代理業務の場合には「知財創出」に関わる機会が極めて少ないので、キャリアとしては初期段階で上記業務を経験することが好ましいと思います。さらに、弁理士としては、明細書又は審判請求書等の書類作成の経験も必要となりますので、これらの業務を初期~後期のいずれかの段階で経験する必要があります。
B.調査の専門性について
調査の専門性は、キャリアプランに組み込むよりも、外部研修等を通じて勉強することが好ましいかと思います。もちろん、調査能力も経験を積むことで成長するのですが、技術に習熟することによっても当該技術分野の調査能力が向上しますので、弁理士としては後者の方が選択しやすいと思われます。
C.渉外の専門性について
共同開発(出願)、ライセンス、訴訟等の経験が必要となりますが、いずれも縁がなければ経験する機会がないのが実情です。しかし、これらの経験は、外部研修等を通じて勉強することができないものですので、キャリアプランに組み込んで経験をする必要があります。この点、渉外業務は出願権利化の経験が有用となるので、中期段階で企業の知財部又は法務部、あるいは法律事務所等において経験することが好ましいと思います。
D.外国語力について
これは、キャリアプランに組み込むよりも、業務とは別に勉強することが好ましいかと思います。
E.外国知財知識
外国知財知識には、法制度等の外部研修等を通じて勉強できるものの他、補正可能範囲又は明瞭と解される範囲等の肌感覚で理解するしかない権利化業務に関する知識もあります。そのため、キャリアプランに組み込んで経験することが好ましい思われます。この点、外国出願の権利化業務は、大中規模企業の知財部又は大中規模の事務所の外国権利化部門でないと経験するのが難しいので、後期段階でこれらの場所において経験することになります。
上のキャリアプランをまとめると、
初期段階:企業の知財部又は研究開発部で、出願権利化業務に携わる。
中期段階:企業の知財部又は法務部(法律事務所)で、渉外業務に携わる。
後期段階:大中規模企業の知財部又は大中規模の事務所の外国権利化部門で、外国権利化業務に携わる。
というプランになります。
さらに、いずれかの段階で書類作成業務に携わると共に、弁理士試験、調査及び外国語の勉強を並行して行う必要もあります。
というわけでこのようなキャリアプラン・・・いかがでしょうか?
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コメント
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こんにちは。。
キャリアプランというテーマで参加された方のコメントを拝見しましたが、難しい問題ですね。
しかし、将来を見据えて、日々の努力をどうすれば、良いのかを考えるのは良いことだと思います。
自分の場合は、企業に属し、技術の区切りで、国内出願も、外国出願更に渉外事件も新人のときから参加して業務を遂行していたので、少し行動計画が異なりました。
従って、常に要求されていたのは、直面した課題に対してどう解決したらよいのかを模索することだけ。
時間の経過と共に、課題に対する検討の幅が拡大していっただけのような経験をしました。
従って、キャリアプランを描くとは、課題を解決するスキルを向上させることを常に考えて、実践したということになるのでしょうか。
今思うと、行き当たりばったりの仕事の仕方をしていたような気がします。
では、
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yyさん
こんにちは。
さて、コメントありがとうございます。
確かに難しい問題ですね。
ところで、他の先生方の記事を読ませていただいて、やはい弁理士はそれ自体が一つのゴールなのかなと思いました。
弁理士になった後は、腕を磨くだけというか・・・。
職人ですかね。
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こんにちは。
職人とは、謙遜ですね。
最近知財で名を成した方の発言を聞きました。
その人の課題が上位なので、人の能力が色々なので、
自分に関係ないかなと若干思いました。
自分は能力から見て、目指すは職人かも
できたら、平均よりちょっと上をいくような職人になれれば、
人生満足するかも。
では。