弁理士の知名度UP広報の狙い

日本弁理士会は、弁理士と弁理士の仕事の認知向上を目指す「弁理士認知度向上プロジェクト」の一環として、古坂大魔王さんと大原優乃さんを起用したMV「BENRI-C(ベンリシ-)」 を公開しました。かなり気恥ずかしい思いをさせられたので、良い感想は持っていません。とはいえ、何も知らずに批判するのもいけませんので、本プロジェクトの背景を調べてみました。
特設サイト

今回広報の狙い

今回広報の狙いは、ずばり「20代30代のビジネスパーソン(有職者)の弁理士の「名称」認知度の向上を目的として、興味関心を促すような広報活動をする」です。

ソースは会員サイトである「日本弁理士会電子フォーラム」→「弁理士会からのお知らせ」→「会務活動」→「答申書・報告書」→「会務系」→「広報センター」で公開されている以下の資料です。
・「平成30年度 広報センター事業報告」
・「日本弁理士会における効果的な広報戦略に関する調査・検討結果を踏まえた広報活動の企画・実施及び検証」(以下単に「広報活動の企画・実施及び検証報告書」)

平成30年度広報センター事業報告

当該資料によれば、「弁理士認知度向上プロジェクト」を実施しているのは「広報戦略ワーキンググループ」であると思われます。平成30年度は、ビジネスパーソンの弁理士の「名称」認知度「1~3%」の向上を目指して「弁理なアイデア展」等を開催し、「3.1%アップ」という結果が得られたそうです。

広報活動の企画・実施及び検証報告書

当該報告書によれば、2018~2022年までをフェーズ1として、 弁理士の「名称」認知度「10%」の向上を目指しているようです。このフェーズ1の目的は
身近に感じ易い「アイデア」という言葉活用し、効果的に弁理士の名称認知を向上。 弁理士とアウターの距離が縮まること(話題になる)で、インナーモチベーションを向上。」(同報告書より引用)
であり、メインターゲットは「20~30代ビジネスパーソン」だそうです。

2018年の振り返りが
20~30代を中心に高い広告認知率を獲得できた。しかし、40代60代に比べ、名称認知率向上へとつながらなかった理由はターゲットにおける心理面にあると考える。 2019年度は、引き続き、ビジネスパーソンの名称認知拡大を図りつつ、 特に20代30代の心理面でのハードルを下げるべく、興味関心を促すような 施策を検討していく。」(同報告書より引用 )
ということのようですので、20代30代の興味関心を促すような広報を検討した結果が、初めのミュージックビデオということになったのでしょう。

広報活動の必要性?

20代30代のビジネスパーソンに弁理士の名前だけを知ってもらうことの意義はさておくとして、このような認知度向上プロジェクトが必要とされる根拠となる調査として、有職者34,006名に対して行ったアンケート調査結果も公開されています。この調査の対象(ただし調整前)の母集団は10代・20代「1,894人」、30代「5,538人」40代「10,881人」、50代「11,319人」、60代以上「4,374人」です。

まず、弁理士の名称認知率は、2017年度は71.9%であったのに対し、2018年度は75.0%となり、3.1ポイント上昇したそうです(「名称認知率」は、『名前は知っているが、どのような職業かは分からない』と回答した人を含む合計値)。しかし、職業認知率については、2017年度は38.2%であったのに対して、2018年度は38.9%となりほぼ同水準であったそうです(「職業認知率」は、『詳しい説明はできないが、どのような職業かイメージできる』と回答した人を含む合計値)。

また、2018年度の他士業及び弁理士の認知状況(職業認知率/名称認知率)は以下の通りです。
弁護士    :78.9%/94.1%
税理士    :68.7%/93.0%
司法書士   :61.0%/92.1%
公認会計士  :60.2%/91.4%
行政書士   :58.3%/90.5%
社会保険労務士:51.1%/85.5%
土地家屋調査士:42.2%/76.3%
弁理士    :38.9%/75.0%
中小企業診断士:38.7%/72.4%
技術士    :25.9%/58.1%(同報告書より抜粋)
計画では2022年までに、名称認知率を75.0%から81.9%にするので、他士業の認知率が変動しないとすれば土地家屋調査士よりちょっと認知される状況にしたいということですね。うん、土地家屋調査士が目標だとは知りませんでした。

また、学生(94.1%が10代・20代)については、弁理士の名称認知率は、2017年度は59.1%であったのに対し、2018年度は56.9%となり2.2ポイント減少したそうです。また、職業認知率については、2017年度は23.5%であったのに対して、2018年度は19.7%となり3.8ポイント減少したそうです。・・・こっちの状況の方がよっぽど深刻な気がするのは多分私だけでしょうね。

ところで、上記調査によると、弁理士・知財関連の情報源として特に利用率が高いのは、「テレビ番組」で28.9%でした。意外とテレビなのか・・・と思ったけれど、「特許庁のHP」が10.6%、「J-PlatPat」が4.1%、「知財ポータル」が3.7%、「その他HP」が合計9.2%なので、結局Webが情報源なのかなと思いました。(これってテレビ広告に誘導しようとして操作してない?)

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