朝日新聞、職務発明に関する記事で誤報
・特許、無条件で会社のもの 社員の発明巡り政府方針転換(朝日新聞DIGITAL)
朝日新聞がネタを投稿してくれました。
いわゆる職務発明制度の改正については、今までの議論の流れからすると、
「発明者に十分な報酬を保証する」という条件付きで、企業の原始取得を認める方向でした。
ところが、朝日新聞の上記報道です。
十分な報償金を社員に支払うことを条件にする方向だったが、
経済界の強い要望を踏まえて、企業に有利な制度に改めるという話が突如報道され、
知財関係者に衝撃を与えた・・・でも朝日。
報道直後から、いぶかる方々が複数。
で、案の定。
・社員の発明、特許は企業に 産業界が報酬ルールに理解(日経電子版)
・発明の特許権 社員から企業に(NHKNEWSWEB)
今まで通り、方針転換なしということが判明しました。
記者の方のツイートを読む限り、
小委員会の議論の行方に確信があったわけでない状態で、上記記事を書いたように思えます。
まぁ、知財関連だから大して影響ないでしょうが、この時期によくやりますね・・・。
さて、職務発明の制度改正については、
意図的に会社VS従業員の構図に誘導されることがあるのですが、
実際は違うと思っています。
理由は2つで、1つ目は現状でも従業員が特許を取得することが非常に稀だということ。
(つまり、帰属に関する争いが生じる状況ではない)
2つ目は金銭の授与では発明者のモチベーションが上がらない(効果が薄い)ということ。
(広く知られていて、課題として認識されている)
ということで、実は対立関係にはないのではないかと。
で、ざっくり両者の考えの相違を理解しようとすると、
実際の企業側の考えは、会社=農園、発明者=(雇われ)農夫、発明=果実で考えるとしっくりきます。
そして、労働者側の考えは、会社=飲食店、発明者=(雇われ)シェフ、発明=レシピで考えるとしっくりきます。
つまり、発明者が発明をすることがどの程度期待(予定)されているかによって、誰が所有権を得るた方が自然なのか、その印象が異なるということかな~と思うわけです。
なので、これを一律法律で規定すると、色々無理が出てきて・・・。
まぁ、いずれにしても「無条件」はウサンクサイ話だったので、
これを記者が本気で信じていたとは・・・ねぇ。
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コメント
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知財に限らず、とかく、表現がおかしい事が多いと思います。
記者の守備範囲が広いですから、記事について、セカンドオピニオンを必要とする時代に突入したような気がします。
では
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yyさん
コメントありがとうございます。
確かに、知財の記事が当てにならないのは通常通りなので・・・
誤報騒ぎは、ちょっとかわいそうだったかも知れませんね。