権利消滅後の移転請求
特74条の移転について – 太陽王
2013/05/18 (Sat) 22:59:30
特74条の移転について質問です。
特許権の消滅後においても請求することが可能なのでしょうか?
126条第8項のような規定がないので、できないのかなと思っていますが…。
以上、よろしくお願いします。
Re: 特74条の移転について – 碧
2013/05/19 (Sun) 23:08:06
逆に、消滅後に請求できないとすると、真の権利者が当該特許権が存続していた期間において当該特許権を侵害していたもの(冒認者含む)に対して、時効前に損害賠償請求(民709条)ができないという不合理が生じるのではないでしょうか。
法上には、何ら消滅後の移転請求を妨げる規定がないので、できると考えて良いのではないかと思っております。
なお、意匠権だけは、関連意匠に係るものについての消滅後の移転制限があります(意26条の2第2項)
Re: 特74条の移転について – 白服 URL
2013/05/20 (Mon) 00:09:14
私は、明文の規定がない限り、消滅した権利の移転はできないと考えています。
また、碧さんの一段落目の内容は、不合理ではないと思います。特許権の侵害に対しては、そのときの特許権者が権利行使をすることができますし、真の権利者が権利行使したいのであれば、先に移転請求をするのが手続上の筋だからです。真の権利者だからといって、法の上に眠っているのでは、救われません。
また、意匠法26条の2第2項は、本意匠及び関連意匠の一部が冒認であった場合に、二以上の者に重複した権利が登録されることを防止するための規定ですので(趣旨は22条に似ています)、消滅後に権利の移転ができるかどうかという論点とは、少しずれている気がします。
Re: 特74条の移転について – 碧
2013/05/20 (Mon) 00:45:57
白服様
ありがとうございます。意匠法26条の2第2項の例は確かに不適切でした。。。
ただ、白服さんが仰る場合については、それぞれ疑問が生じます。
①「そのときの特許権者」が冒認者であった場合、そもそも権利行使をすること自体が権利濫用に当たるのではないでしょうか。(実際冒認出願は104条の3の無効の抗弁(123条1項6号)の対象になりますし…。)
②「真の権利者が権利行使したいのであれば、先に移転請求をするのが手続上の筋」なのは理解致しますが、例えば消滅後に冒認された特許権の存在を知った真の権利者が、移転請求を行えないとすると、真の権利者の救済については結局法改正前の状況のままということになります。
その場合、冒認者が悪意で当該特許権に係る発明を実施していたり、第三者に権利行使をして損害賠償金を得ていたとすると、真の権利者の救済を図るためには、結局特許権に基づかずに民703条や民709条で争うことになるという、改正前の状態のままになってしまうのではないでしょうか。むしろ、それでもやむなしと考えるべきなのかしら…。また、真の権利者が冒認に気付かないことの注意義務違反なども問題になってくるのかしら…。
Re: 特74条の移転について – 管理人
2013/05/20 (Mon) 14:39:01
碧さん、白服さん
回答への御協力ありがとうございます。
さて、この場合は移転請求できるかどうかの前に、移転できるかどうかを検討する必要があるかと思います。
この点、被疑侵害者が消滅した特許権(又は専用実施権)を譲り受けて遡及的に非侵害となるのは妥当ではありませんので、原則として移消滅後は転できないと考えてよいと思います。
少なくとも、何の条文もなく遡及効は生じないでしょう。
従って、碧さんがおっしゃる点については、原則としては救済されないと思われます。
(そもそも特許出願をしなかった真の権利者が、第三者に対して特許権を行使したいというのもおかしいのです。)
ですので、何の条文もなく救済されることはないと思われます。
ただし、訴訟においては特74条の類推適用により移転が認められる可能性もゼロではないと思います。
なお、意26条の2第2項の例は、消滅後の移転を否定する根拠としてはあり得ます。
すなわち、仮に消滅しても移転できるとすると、意26条の2第2項の趣旨である「消滅した意匠権があるような場合、残りの全ての意匠権について移転請求が認められ、真の権利者が登録時に遡って意匠権者となれば、放棄された意匠権が過去に存在していたときの意匠権者は冒認者等のままであるため、放棄されるまでの期間は二以上の者に重複した意匠権が存在していたこととなる」の防止をする必要がありません。
Re: 特74条の移転について – 白服 URL
2013/05/20 (Mon) 21:09:42
こんばんは、白服です。
碧さんの①②について、ちょっとコメントします。
①無効の抗弁の対象になり得るからといって、権利の濫用にあたるというのは性急な気がします。ちょっと極端にいえば、あらゆる特許には無効理由が生じえます(特に発明の新規性・進歩性の面で)。また、権利行使を受けた者にとっては、その特許権が冒認によるのかどうかは、通常、分かりません。
②このスレでは特許権の消滅後のことをテーマとしているので誤解しやすいかもしれませんが、そもそも74条は、特許権の消滅後のことまで意識していないように感じます。消滅前については改正によって真の権利者が救済されるので、それで十分なのだと思います。
このテーマは、あまり深入りしないで、このへんで終了にしたいと思います。(^_^;)
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