弁理士試験-判決と異なる審決の可否

判決と異なる審決の可否
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拘束力について – ぽにょ
2010/09/24 (Fri) 18:10:14
よくわからなくなってしまいました。
無効審決後(証拠Aで無効審決)、権利者が審決取消訴訟を起こし、訴訟において無効棄却と判断され(例えば、証拠Aから進歩性はあった)、判決により無効審決を取り消し、無効審判が審理されることになると思います。その場合、無効審判中では、審判官は訴訟における拘束力の及ぶ判決理由中認定判断(事実認証及び法律判断)と異なる判断をして審決できない、と参考書にあります。
では、全く異なる証拠Bで同じ進歩性があるということで棄却審決は可能でしょうか。また、無効審判において証拠Aに補強的な証拠を加えてやはり無効審決であるとの判断はしてはいけないのでしょうか。
Re: 拘束力について – クアトロ
2010/09/29 (Wed) 20:46:05
一つ目のご質問の「証拠Bで同じ進歩性がある」が「無効審判請求人が提出した主要証拠B(公知文献など)で特定される公知発明に対して進歩性がある」ことを意味すると解釈して回答させていただきます。
このような拘束力は、行政事件訴訟法の33条1項「処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」を根拠としています。このような拘束力を認めたのは行政事件裁判の蒸し返しを防ぐためであり、この拘束力は、判決主文(例えば、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」など)が導き出されるのに必要な事実認定(例えば、○○という技術が出願時公然実施されているなど)及び法律判断にわたります。事実認定は主要証拠に基づき行われ、主要証拠を裏付けるために補強的な証拠が用いられる場合があります。
一つ目のご質問の場合は、主要証拠が異なりますし、そもそも無効審判請求を棄却することは取消判決と異なる判断を行っているともいえないため、特許庁がこのような判断をなすことは可能であると考えます。
二つ目のご質問については、たとえ証拠Aを裏付けるための補強的な証拠が異なるとしても主要証拠である証拠Aに基づく事実認定はすでになされているため、特許庁が無効審決を行うことはできないものと考えます。参考になる判例としては最高裁判決(平成4年4月28日判決)があります。この判決では「審判官は、取消判決の拘束力の及ぶ判決理由中の認定判断につきこれを誤りであるとして従前と同様の主張を繰り返すこと、あるいは右主張を裏付けるための新たな立証をすることを許すべきではなく」と述べられています。
Re: 拘束力について – オレンジ
2010/10/04 (Mon) 13:01:44
一つ目の質問に関連した質問なのですが、この場合、差し戻された無効審判の際に、「全く異なる証拠Bで棄却審決ではなく、無効審決」を出すことは可能でしょうか。
Re: 拘束力について – クアトロ
2010/10/04 (Mon) 19:06:45
証拠Bが主要証拠であるなら、無効審決を出すことは可能だと考えます。
例えば、証拠Aが「A技術が○年○月○日に公知であったことを示す文献」であり、裁判所が証拠Aに基づいて「A技術は本願の出願当初公知であった」旨の事実認定を行い、本願発明が「A技術に対して進歩性がある」旨の法律判断を行っていたとします。
これに対し、差し戻された無効審判において、「B技術が○年○月○日に公知であったことを示す文献」である証拠Bに基づき、「B技術は本願の出願当初公知であった」旨の事実認定を行い、本願発明が「B技術に対して進歩性がなく無効である」旨の判断を行うことは、上述の拘束力の及ぶところではなく、何ら問題はないと考えます。
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