冒認出願の治癒法について
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冒認出願の治癒法について – ハンス
2011/04/29 (Fri) 17:13:17
ブログを通じていつも勉強させていただいております。ありがとうございます。
質問ですが、冒認出願の治癒法についてです。
たとえば、甲さんが発明Aをしたとします。そして、会社乙が勝手に(特許を受ける権利を承継せずに)発明Aに対して特許出願Xをしました。いわゆる冒認出願です。
特許出願Xは審査に入りましたが、冒認出願(49条7号)の拒絶理由通知をもらいました。なお、特許庁はなぜか事情が分かったとします。
この場合に、会社乙は特許出願Xの出願人であることを維持しながら、冒認出願違反の拒絶理由を解消できますでしょうか?
上記拒絶理由への対応として、私が思うに、以下のような対応が取れるかと思いますが、正しいかどうか、取れる対応なのかどうか、よくわかりません。下記の対応のうち、取れないものや間違ったものがありましたら、ご指摘をよろしくお願いいたします。
対応1.会社乙が甲さんと交渉し、発明Aに対する特許を受ける権利を譲渡してもらう。そして、意見書にて、この旨を審査官に伝えることにより、冒認出願違反の拒絶理由が解消される。
対応2.会社乙が甲さんと交渉し、発明Aに対する特許を受ける権利を譲渡してもらう。しかし、冒認出願は治癒できない拒絶理由であるため、特許出願Xをあきらめ、会社乙が特許出願をし直す。
対応3.会社乙が甲さんと交渉し、発明Aに対する特許を受ける権利を半分だけ譲渡してもらう。そして、現状の出願人「会社乙」から「会社乙および甲さん」と出願人を変更する旨の出願人名義変更届けを出し、特許出願Xを会社乙と甲さんの共同出願とすることにより、冒認出願違反の拒絶理由が解消される。
対応4.会社乙が甲さんと交渉し、発明Aに対する特許を受ける権利を半分だけ譲渡してもらう。しかし、冒認出願&共同出願違反は治癒できない拒絶理由であるため、特許出願Xをあきらめ、甲さんと会社乙が共同で特許出願をし直す。
Re: 冒認出願の治癒法について – 管理人
2011/05/02 (Mon) 19:37:20
冒認出願の治癒については審査基準にも記載がないため、以下私見になります。
まず、査定時又は審決時に当該拒絶理由が解消していれば(出願人が特許を受ける権利を有していれば)、特許を受け得るものと解します。
特許を受ける権利が譲渡可能であることからすれば、出願時点で冒認出願であったとしても特許を受け得ると解するのが妥当であるからです。
また、条文上も出願前に特許受ける権利を有することまで求めていないからです。
従って、ご質問の場合、対応2,3は治癒できないという点で妥当ではないものと思われます。
一方、対応1,4については、出願人が特許を受ける権利又はその一部を有しておりますので、拒絶理由が治癒するものと思われます。
なお、特許を受ける権利を有することは、譲渡証書によって証明できると思われます。
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コメント
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管理人様
ご回答をありがとうございました。
冒認も共同出願違反も治癒されるのですね。よくわかりました。
ちなみに、ご回答における番号は誤記でよろしいですか?つまり、対応1,3が妥当で、対応2,4が妥当でない、ということですよね?
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> 管理人様
> ご回答をありがとうございました。
> 冒認も共同出願違反も治癒されるのですね。よくわかりました。
> ちなみに、ご回答における番号は誤記でよろしいですか?つまり、対応1,3が妥当で、対応2,4が妥当でない、ということですよね?
おっしゃる通り誤記です。
対応1,3が妥当であり、対応2,4が妥当でありません。
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既に解消ずみかもしれませんが、特許庁の方式審査便覧の21.52(補正-1) <PDF11KB> 出願人の表示の訂正について の欄に、主体が変更する補正は認めないとなっています。
よって、本来は、解消せずと思われます。
実体的には、既出の通りだと思います。
ただ、弁理士試験の答練では、解消できる前提で問題が出ています。
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私が誤解しているのかもしれませんが、補正ではなく出願人名義変更を前提に解消可能という判断をしております。
蛇足ですが、出願人名義変更については、方式便覧の45.20(http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/binran/045-20.pdf)をご覧ください。