弁理士試験-外国語書面出願の補正

外国語書面出願の補正
無題 – mi-n
2010/01/18 (Mon) 10:27:30
外国語書面出願の分野のイメージがわきません。
過去問で
外国語書面出願の出願人が誤訳訂正書を提出してした明細書の補正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、誤訳の訂正を目的とするものでないとき、その外国語書面出願は、そのことを理由として拒絶される場合がある。
→×(∵語訳訂正書を提出してする補正が誤訳の訂正を目的とするかの適否については拒絶理由とされていない
とありました。ここでの補正した「明細書」といういうのは外国語書面のことなのか、誤訳訂正書を提出してする補正が誤訳の訂正を目的とするものでないということがそもそもあるのかなど、この過去問だけに関わらず、外国語書面出願に関して出てくる文言がまったく理解できません。
後もう一例あげると
誤訳訂正書を提出した後、一般補正書による補正を行う場合
→翻訳文又は当該補正後の明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲内(図1)
図1
翻訳文(イ、ロ)/イ、ロ、ハ)外国語書面→<誤訳訂正>
翻訳文(イ、ハ)/(イ、ロ、ハ)外国語書面→<一般補正>
翻訳文(イ、ロ、ハ)/(イ、ロ、ハ)外国語書面
といった記載がありました。図をみるに「当該補正後の明細書、特許請求の範囲又は図面の範囲内」というのは補正後の翻訳文を指していると思うのですが何故表現を変える必要があるのか分かりません。
外国語書面出願の全般について初学者でも分かる感じで説明して頂きたく願います。
Re: 無題 – ペンキ
2010/01/18 (Mon) 16:15:47
どのようなテキストをご使用されているか不明ですので、「初学者」でも分かる感じで説明しますと、投稿が非常長くなります。又、口頭で私が説明してもよいのですが、その機会もありません(笑)。したがって、手抜き説明で恐縮ですが、以下の内容でご容赦ください。
いわゆる外国語(英語)書面出願制度(特36条の2)は、平成6年の一部改正により導入されました。実質上の導入経緯は、当時の日米包括協議の場において、米国側からの「米国では、日本語による特許出願を認めているのに、なぜ日本では、英語による出願を認めないのか。」という要求に対して、日本側がしぶしぶこの要求を受け入れ、改正審議会に諮問し、その審議内容を基に導入したものです。したがって、「外国語書面出願」と謳いながらも、特許法施行規則25条の4において、「英語」しか認めていない理由はここにあります。なお、改正審議会の答申報告書では、「英語出願制度」となっておりました。なお、出願に際し、出願日から1年2ヶ月以内に日本語による翻訳文の提出を条件として英語書面での提出は認めていますが、「願書」は、日本語で提出しなければなりません。この点は、日本側のせめてもの抵抗の現れでしょうか(笑)。
余談が長くなりましたが、ご使用されているテキストの基は、下記立法者の解説であると考えます。テキストを書いた方の思い込みもあり、立法者の意図を勘違いして平然と間違った解釈の記載がなされている場合も多いと聞いております。
したがって、まずは、特許制度全体を理解された上で、下記解説を基本書として外国語書面出願制度を学習されることをお勧め致します。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/hourei/kakokai/sangyou_zaisanhou.htm
上記特許庁のHPの「平成6年度法律改正、第2章 外国語書面出願制度」を参照下さい(ダウンロードも可能です)。
因みに、最初のご質問に対する解説が、62~63pにかけて詳しく書かれています。
また、現行の特許庁における外国語書面出願制度の運用については、下記審査基準の「第Ⅷ部 外国語書面出願」をご参照願います。
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/kijun/kijun2/tukujitu_kijun.htm
この立法者による解説と、審査基準による運用を教科書として学習され同制度の理解を深められるよう願っております。
最後に、なぜ、日本語での翻訳文が明細書、特許請求の範囲又は図面とみなされるかは、特許権等のいわゆる工業所有権に限らず、我が国の権利は、すべて日本語で書かれ、日本語で権利が公示されている趣旨からです。
Re: 無題 – 管理人
2010/01/18 (Mon) 22:25:17
ペンキさん、ご回答ありがとうございます。
質問が漠然としているため、長文になってしまったようですので、簡潔にポイントだけ補足します。
まず、外国語書面は補正できません。
補正できるのは、翻訳文だけです。
また、誤訳訂正書による補正が誤記の訂正を含む場合など、誤訳訂正書を提出してする補正が誤訳の訂正を目的とするものでないということもあります。
この場合でも、単なる形式的不備ですので、拒絶はされません。
また、翻訳の性質的な問題から、翻訳文の記載と外国語書面(原文)の記載とは同一とは限りません。
そのため、翻訳文に記載された範囲と外国語書面に記載された範囲とが異なる場合もでてきます。
そこで、翻訳文の範囲で行われる補正は、一般補正(通常補正)で行い、翻訳文の範囲を超えて外国語書面に記載された範囲で補正する場合は、誤訳訂正書で行うのです。
Re: 無題 – ぬこ
2010/01/18 (Mon) 23:48:08
外国語書面は補正できないんですね。勘違いしてました。
大変参考になりました。クリックしておきます。
Re: 無題 – ペンキ
2010/01/19 (Tue) 00:22:07
管理人さんのポイント補足の理由については、H6年解説の56p、61~63pにかけて詳しく説明されていますので、是非ご参照していただければと思います。へたなテキストや参考書に手を出されるより、H6年解説(いわゆるH6年改正本)を読むと、外国語書面出願制度についての理解が深まりますよ。
【関連記事】
「外国語書面出願の図面の翻訳文」

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