優先権と分割・変更

優先権と分割・変更
優先権と分割・変更 – 坂本
2010/04/23 (Fri) 00:00:11
H19-21(イ)とH20-8(1)について質問です。(LECの教材です)
前者では、分割したとしても当然に優先権は引き継がれないと書いてあります。問題文に「~いかなる優先権の主張も伴わない~」に注意しようとあります。
しかし、後者では問題文に同じ但書があるにもかかわらず、変更した場合、優先権が引き継がれています。
これは、分割の場合は引き継がれない場合もあるが、変更の場合は必ず優先権が引き継がれると考えてよろしいのでしょうか?
Re: 優先権と分割・変更 – suzuka2007
2010/04/23 (Fri) 02:25:24
審査基準からの引用
「国内優先権の主張を伴う特許出願の分割出願又は国内優先権の主張を伴う実用新案登録出
願から特許出願への変更出願については、もとの出願の際に主張した優先権を主張することが
できる(第44条第2項、第46条第5項)。」
したがって、優先権主張を伴う出願を分割・変更する場合は、その新たな出願も優先権を主張することができます。
問題文に最初に登場する甲の特許出願A、乙の特許出願Dは、優先権主張できる出願であることを明記したもので、分割された特許出願についての限定ではないですという趣旨の注意書きと解釈するものと思料いたします。
これを前提として、H19は、あくまでもBが公開されないと、Aについては、公開されたものとみなして、29条の2は適用できないので、そのため、Bが公開されなくてもと、わざわざ明記して、Cが公開されたときはと出題者が問いかけています。
一方、H20は、変更出願による原出案は取り下げられたものとみなすため、さらに、変更/分割出案を優先権主張の基礎とできないことを含めて、出願日が遡及しないことを問うのが出題者の意図のようです。LECさんの解説がすべて正しくない場合の好例です(笑)。
Re: 優先権と分割・変更 – 坂本
2010/04/26 (Mon) 08:45:20
回答ありがとうございます。
何度も読ませていただきました。
しかし、理解できませんでした。
結局のところ、正解にたどり着くまでには
どのような思考の流れで行けばよいのでしょうか?
もし、お時間があれば最後までご教授ください。
Re: 優先権と分割・変更 – 管理人
2010/04/26 (Mon) 14:54:12
suzuka2007さんご回答ありがとうございます。
さて、H19問21枝(イ)は要約すると、
①発明イの特許出願A(甲)
②Aを基礎とする、発明イ・ロの国内優先権主張出願B(甲)
③発明イの特許出願D(乙)
④Bを親とする発明イの分割出願C(甲)
この場合に、Bの出願公開前にCが出願公開がされると、DはAを理由にいわゆる拡大先願(特29条の2)として拒絶される場合があるか?という問題です。
聞きたいところは、分割出願の公開によって基礎出願を基準とした拡大先願の地位が生じるか?ということでしょう。
これについては、優先権主張を伴う場合であっても、分割出願の拡大先願の地位は現実の出願日を基準に発生すると思われるので(特44条2項)、答えが×となります。
さて、ここでご質問の点ですが、本問の柱書には「特に文中に示した場合を除き・・・いかなる優先権の主張も伴わない」と記載されています。
つまり、出願Cは国内優先権の主張を伴わないのでは?という疑義が生じます。
そして、ただし書きを正確に適用するならばおっしゃる通りです(ただし、答えは変わらない)。
しかし、問題の趣旨からすると、ここは国内優先権の主張を伴うのではないかと思います。
また、本問では、特44条4項に基づき国内優先権主張を伴うとみなすこともできるでしょう。
というわけで、私は国内優先権の主張を伴うと思いますが、どちらでも正解できるので気にしない方が良いです。
次に、H20問7枝(2)は要約すると、
①発明イの特許出願A(甲):考案イの実用新案登録出願D(乙)
②Aを基礎とする、発明イの国内優先権主張出願B(甲)
③Bを変更出願した、考案イの実用新案登録出願C(甲)
④Dを変更出願した、発明イの特許出願E(乙)
⑤Eを基礎とする、発明イの国内優先権主張出願F(乙)
この場合に、CとFとは、同日出願として特39条4項の協議命令が出ないか?という問題です。
聞きたいところは、変更出願を基礎とする国内優先権の主張が認められるか?ということでしょう。
これについては、変更出願は国内優先の基礎とはできないので(特41条1項2号)、同日出願とはならず答えは○となります。
さて、ここでまたご質問の点ですが、本問の柱書には「特に文中に示した場合を除き・・・いかなる優先権の主張も伴わず」と記載されています。
つまり、出願Cは国内優先権の主張を伴わないのでは?という疑義が生じます。
そして、これもただし書きを正確に適用するならばおっしゃる通りです(ただし、答えは変わらない)。
しかし、これも問題の趣旨からすると、ここは国内優先権の主張を伴うのではないかと思います。
そして、準特44条4項から国内優先権主張を伴うとみなすこともできるでしょう。
というわけで、私は国内優先権の主張を伴うと思いますが、どちらでも正解できるので気にしない方が良いです。
Re: 優先権と分割・変更 – 坂本
2010/04/27 (Tue) 16:39:12
管理人さん、回答ありがとうございます。
分割については、完璧に理解できました。いろいろと勘違いしていたようです。ただ、もしよろしければ、あと1度だけお付き合いください。
変更についてですが、Fについてはわかりました。しかし、管理人さんが言うように、Cが優先権を伴わない可能性があるのであれば、出願日が遡及せず、Cの出願日は現実の出願日となるので、Fと同日出願になり、協議の対象になるような気がするのです?
私は、何か大きな勘違いをしているのでしょうか?
よろしくお願いします。
関係のないことですが、ブログに行かせていただきましたが、クリックするところがわかりませんでした。
Re: 優先権と分割・変更 – 管理人
2010/04/27 (Tue) 21:48:21
確かにそうですね、私の回答が間違っています。
H20問7枝(2)の出願B(出願Cは遡及する)と出願Fとが同日の場合は協議の対象となり得るので、国内優先を主張しない可能性は考えられないです。
となるとやはり、分割と変更の場合は、自動的に国内優先の主張を伴うと考えるべきでしょう。
【関連記事】
「国内優先と公開擬制」

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