先の出願が国際特許出願の場合の取下擬制
184条の15第4項の最後の文の意味 – あやパパ
2016/06/01 (Wed) 06:44:44
①PCT出願Xを日本を指定国に含めて出願
②Xについて国内優先権を主張して、国内出願Y
③ここで、出願Yと同時に審査請求をした。
④Xの取り下げ擬制は、経済産業省の定める期間と国内処理基準時の遅い方
⑤Xについては審査請求はされていない。
この時の国内処理基準時ですが、
(1) Xに審査請求がされていないので、国内処理基準日は国内書面提出期間であって、Xから30か月。これが遅いので、Xから30か月経過後に取り下げ擬制。
(2) Yに審査請求されている。この日が国内処理基準日となる(出願Xから1年以内)。この日に比べて”Xから経済産業省令で定めた期間1年4か月”経過の後の方が遅い。このため、Xから1年4か月後に取り下げとみなされる。
のどちらが正しいのですか?
(2)とばかり思っておりました。(1)なのでしょうか?
超基本ですが、宜しくお願いします。
Re: 184条の15第4項の最後の文の意味 – 管理人
2016/06/01 (Wed) 11:59:31
出願Xが優先権を伴わず、且つ国内移行されたものとして回答します。
(特184条の5に規定する手続きをしなければ出願却下となる)
まず、先の出願が国際特許出願の場合、取下擬制される期限は国内処理基準時又は国際出願日から経済産業省令で定める期間を経過した時のいずれか遅い日です(特184条の15第4項)。
そして、経済産業省令で定める期間を経過した時とは、国際出願日から一年四月です(特施規38条の6の5)。
質問の例では、審査請求がされていないために、国内処理基準日の方が遅いので出願Xは、その出願日から30か月経過時に取下擬制となります。
Re: 184条の15第4項の最後の文の意味 – あやパパ
2016/06/02 (Thu) 04:25:51
管理人様、回答ありがとうございます。私の書いたものでは、(1)が正しいということですね。184条の15第4項の最後の文は、あくまで上記の出願Xについての国内処理基準日についてのものということですね。ありがとうございます。お恥ずかしながら、上記の出願Yの審査請求がされたところで国内処理基準日が設定されるように誤解してしまいました。
全く私は理解できていないようです。すみません。この直前期に恥ずかしいのですが、どうかもう少しお付き合いください。
Xに対して、Yを国内優先権を主張して出願した訳ですから、Yが生きてくれれば良いと思うのです。一本化を図る意味も込めてYを国内優先にしたのですから。出願人は、Xについて国内移行手続きなどしないと思うのですが、どうなのでしょうか?
二つも質問して恐縮なのですが、もう一つお願いします。
Xについて国内書面提出期間内に国内移行手続きをしなかったとします。この場合、補正命令が出て(184条の5第2項1号)、指定期間に国内移行手続きをしなかった場合に出願却下(184条の5第3項)だと思います。そうしますと、出願却下は、結局のところ国内書面提出期間(国内処理基準日)の経過後だと思います。そうしますと、国内処理基準日における取り下げ擬制(184条の15第4項)の方が早くやってきます。ですので、この場合には、補正命令は出ず、取り下げ擬制となるのではないかと思うのですが、如何でしょうか?
Re: 184条の15第4項の最後の文の意味 – 管理人
2016/06/02 (Thu) 14:57:49
普通の出願人は、Xについて国内移行手続きなどしないですが、却下と取下擬制のどちらが優先するのか不明でしたので、却下されない前提で回答しまいた。
また、却下(補正指令)と取下擬制のどちらが優先するのかですが、青本によれば、翻訳文未提出の取下擬制時には補正指令が出ないようですので、取下擬制が優先されるのかもしれません。
なお、一部の不適法な出願(却下対象)について、出願取下げを受理しないという運用もあるようですので、ケースバイケースであるのかもしれません。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/binran_mokuji/48_20.pdf
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