弁理士試験-取下後の公開請求と特29条の2

取下後の公開請求と特29条の2
分割出願 – 短答2年目
2013/01/22 (Tue) 15:21:33
典型的な問題に疑問が膨らみ、ストーリーを書きました。①-④は状況説明です。よくある問題の筈です。⑤の途中までは過去問です。その後がどうも。条文をあたって記述しました。⑤以下が正しいのか、ご指導のほどお願いします。⑤で間違っていたら、⑥以下は無視してください。
①甲が特許Aを出願。イ、ロ、ハが請求項、イ、ロ、ハが明細書に記載されている。
②乙が特許Bを出願。イが請求項。イが明細書に記載されている。
③甲が特許Aを分割し特許Cを出願した。Cではイおよびハを請求項から削除し、ハのみを明細書から削除した。結果、ロのみが請求項、イとロとが明細書に記載されている。そして、特許Aを取り下げた。
④特許Cが公開され、更に特許Bが公開された。特許Aは公開されなかった。
⑤乙が特許Bについて審査請求した。
特許Cは29条の2の他の出願となる時には、現実の出願日が有効となる(44条第2項ただし書き)ため、特許Bは特許Cによって29条の2では拒絶されることはない。また、特許Cのイは請求項にないため、特許Bは39条第1項を根拠として、特許Cにより拒絶されることはない。特許Bは登録された。(と書きましたが、審査官自体は特許Aの中身をチェックできて、特許Cの関係部分イが含まれていることを確認できることや、Aが公開されればCは無効なのはこの時点で審査官には明らかなので、府に落ちません。)
⑥乙が事業を開始した。
⑦甲が特許Cの発明イを権利化したいと考えた。ここで、乙の特許Bが成立していることを見出した。そこで、甲は特許Aの公開請求を行った。Aの公開によりAは拡大先願の地位を得た(講座の29条の2の解説より)。甲は、特許Bについて特許Aを他の出願として29条の2違反として無効審判を請求した。無効審決が確定した。甲はCを補正し(C‘)、イ、ロを請求項として審査請求した。登録された。
⑦の変形:甲が特許Cの発明イを権利化したいと考えた。ここで、乙の特許Bが成立していることを見出した。甲はCを補正し(C‘)、イ、ロを請求項として審査請求した。イ、ロの出願日は遡及されるため(44条第2項)、C’はBによっては拒絶されない。登録された。甲は乙の特許Bについて無効審判を請求した。Bは先願C‘により39条1項違反で無効審決を受け、確定した。
ここで、甲としては、通常は⑦を採用する。理由:乙の特許権実施を早く止めさせることが商売上重要。乙からの権利行使というおかしな状態を避けたい。特許C’の権利化に時間のかかる可能性がある。特許Aを公開請求するのに問題があるとき(例えば発明ハが冒認である時)のみ⑦の変形を採用。
⑧乙は無効審判請求の登録前に事業を行っており、特許法80条により発明イについて事業の目的の範囲においての通常実施権(中用権)を得た。
Re: 分割出願 – 管理人
2013/01/23 (Wed) 12:13:18
さて、何度か御説明したように、出願Bの審査時点で、出願Aが公開されれば拒絶されると審査官が判断したのならば、審査を一時保留している旨の通知書が出願人に発送されます。
その後、公開前に出願Aが取下げられたのならば、その後で出願Bを特許査定でよいでしょう。
また、出願Cについて、審査官が将来の補正の可能性まで考慮して出願Bを審査しなければならない理由もありません。
なお、通常は出願Aを取り下げないので、特29条の2で出願Bを拒絶できます。
⑦以下についてはアドバイスをします。
⑦は多分間違いですので、取り下げた出願に対して公開請求ができるのか方式審査便覧などを確認しましょう。
⑦の変形は正しいですが、その趣旨は自論ですかね?おかしい所が複数あるので、論文試験では書かないほうがいいと思いますよ。
⑧については、正しいです。
Re: 分割出願 – 短答2年目
2013/01/23 (Wed) 13:49:03
なるほど、同じ所で何度も躓いていますね。冷静に考えます。
取り下げられた出願の公開請求ですが、29条の2に対する講座の、”出願公開の請求がなされた出願は取下等されても公開されるので、出願公開請求後に取り下げられた出願は拡大先願の地位を有し得る。”を”取下等されても出願公開の請求がなされた出願は公開されるので、取り下げられた出願は出願公開請求後に拡大先願の地位を有し得る。”と勘違いしてしまいました。あきれるばかりです。方式審査便覧をあたりましたが、アホな想定なのか記述は見当たらず判然とはしませんでした。しかし、64条の2の”特許出願について出願公開の請求をすることができる”の特許出願”に”取り下げたもの”はあたらないのだと思います。
どうもありがとうございました。
29条の2も他の出願のことを”出願公開されたもの”としていますので、取り下げたものは出願されていないと考えればスッキリしました。とんでもない勘違いをしていました。
分割して元のものを取り下げる問題設定はH23年にも出ています。それに関連して追加の質問を一つだけさせてください。
①甲が特許Aを出願。イ、ロが請求項、イ、ロが明細書に記載されている。
②乙が特許Bを出願。イが請求項。イが明細書に記載されている。
③甲が特許Aを分割し特許Cを出願した。Cではハのみを請求項から削除し、ハのみを明細書から削除した。結果、イのみが請求項、イが明細書に記載されている。そして、特許Aを取り下げた。
④特許Cが公開され、更に特許Bが公開された。特許Aは公開されなかった。
⑤乙が特許Bについて審査請求した。
特許Cは29条の2の他の出願となる時には、現実の出願日が有効となる(44条第2項ただし書き)ため、特許Bは特許Cによって29条の2では拒絶されることはない。
ここまでがH23の問題と解答です。この後の特許Bですが、
特許Cにて発明イが請求項にあるため、特許Bは39条第1項を根拠として、特許Cにより拒絶される。
で良いですか?
Re: 分割出願 – 管理人
2013/01/24 (Thu) 12:00:47
正しいと思います。
なお、方式審査便覧の件ですが、出願が取り下げられた後に手続をしたときは、手続が却下されると記載されています。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/binran_mokuji/15_20.pdf
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