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R01年短答著作不競問09
不正競争防止法上の営業秘密に関し、次のうち、最も適切なものは、どれか。
枝1
1 甲が丙から乙の営業秘密を取得した後に、その営業秘密に関する産業スパイ事件が大々的に報道された結果、甲が丙による不正取得行為が介在していた事実を知ったとしても、甲が丙から営業秘密を取得する時点でその事実を知らなかったのであれば、その後、甲が当該営業秘密を使用したとしても、不正競争とならない。
解答
✕ 不競2条1項6号の不正競争行為は、営業秘密を取得した後に、その営業秘密に関する産業スパイ事件が大々的に報道されて不正取得行為が介在していた事実を知りながら、営業秘密を使用又は開示する行為等が該当する(逐条解説 不正競争防止法 第87頁)。よって、知った後に使用すれば、不正競争となる。https://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/20181129chikujyokaisetsur.pdf
枝2
2 営業秘密の保有者である甲社が、その下請企業である乙社に営業秘密を示した場合、乙社の従業員丙が、甲社と競争関係にある事業を行う目的のある丁社に営業秘密を開示したとしても、不正競争とならない。
解答
✕ 不競2条1項7号の不正競争行為は、営業秘密の保有者が、下請企業に対して営業秘密を示した場合に、その従業者等が不正の利益を得る目的又は保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用又は開示する行為等が該当する。よって、競争関係にある事業を行う目的のある丁社に開示すれば、不正競争となる(逐条解説 不正競争防止法 第88頁)。
枝3
3 人材派遣事業等を主たる営業目的とする甲社の従業員乙は、守秘義務を負うにもかかわらず、甲社が保有する営業秘密である派遣スタッフの管理名簿を他社の従業員丙に開示した。丙が、乙の開示行為が当該守秘義務の違反に該当することを知りながら、対価を支払って当該管理名簿を買い取る場合、不正競争となる。
解答
◯ 不競2条1項8号の不正競争行為は、人材派遣事業等を主たる営業目的とする株式会社の従業者から、当該会社が保有する派遣スタッフの管理名簿等の不正開示を受け、そのことを知りながら当該名簿等を使用して勧誘等する行為等が該当する。よって、守秘義務の違反に該当することを知りながら買い取れば、不正競争となる(逐条解説 不正競争防止法 第90頁)。
枝4
4 甲は、産業機械のメーカーである乙社が保有する、産業ロボットの組立技術に関する営業秘密を不正に取得し、これを使用して産業ロボットを製造した。丙は、営業秘密侵害品であることについて重過失なく知らないで甲から当該産業ロボットを購入し、丁に譲渡した。この場合、丙による丁への譲渡行為は、不正競争となる。
解答
✕ 不競2条1項10号の不正競争行為は、善意無重過失で営業秘密侵害品を譲り受けた者については適用されない(逐条解説 不正競争防止法 第92頁)。よって、不正競争とはならない。
枝5
5 甲社の従業員乙は、守秘義務を負うにもかかわらず、甲社が保有する営業秘密である顧客名簿を他社の従業員丙に開示した。丙が、乙の開示行為が当該守秘義務の違反に該当したことについて、重過失なく知らないまま当該顧客名簿を使用する行為は、不正競争となる。
解答
✕ 不競2条1項8号の不正競争行為は、悪意・重過失で営業秘密を取得した営業秘密を使用する行為等が該当する(逐条解説 不正競争防止法 第90頁)。よって、善意無重過失であれば、不正競争とならない。
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