最高裁判決の紹介:平成28年(受)第1242号
均等論の第5要件(意識的除外)に関する最高裁判決です。
なお、今年の試験範囲に含まれ、出題可能性もありますので一度は目を通しましょう。
結論としては、『出願時の特許請求の範囲に、容易に想到できた部分を記載しなかった場合でも、それだけでは当該部分を含む製品等が意識的に除外された等の特段の事情が存するとはいえない』です。
・平成28年(受)第1242号『特許権侵害行為差止請求事件』
特許出願時に特許請求の範囲において、目的化合物を製造するための出発物質等としてシス体のビタミンD構造を記載していたが、トランス体のビタミンD構造は記載していなかったことが、均等論の第5要件に該当するか(意識的に除外されたものに当たる等の特段の事情となるか否か)が争われた事例。
最高裁は、特許出願時に特許請求の範囲に記載された構成中の対象製品等と異なる部分につき、これを容易に想到できたにもかかわらず記載しなかった場合でも、それだけでは、対象製品等が意識的に除外された等の特段の事情が存するとはいえないとしました。
しかし、客観的、外形的にみて両者が代替すると認識しながらあえて記載しなかった旨を表示していたといえるときには(例えば、置き換えできることを明細書等に記載する等)、意識的に除外されたものに当たる、と判断しました。
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なお、直近の本室更新は「転職について」です。
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