重大ニュース-ロクラク事件

ロクラク事件
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録画番組の海外転送、レコーダーが業者管理下なら著作権侵害に 最高裁、審理差し戻し(ITmedia News)
18日のまねきTV事件に続き最高裁の判決がでました。
平成21(受)788号
送信可能化が争われたまねきTV事件とは異なり、
本件では複製権が争われていました。
ただ、いずれも行為の主体が業者であるという認定を行い、
結果、著作権侵害を実質的に認定しています。
最高裁は、
放送番組等の複製物を取得することを可能にするサービスにおいて,サービスを提供する者(以下「サービス提供者」という。)が,その管理,支配下において,テレビアンテナで受信した放送を複製の機能を有する機器(以下「複製機器」という。)に入力していて,当該複製機器に録画の指示がされると放送番組等の複製が自動的に行われる場合には,その録画の指示を当該サービスの利用者がするものであっても,サービス提供者はその複製の主体であると解するのが相当である。
及び
複製の主体の判断に当たっては,複製の対象,方法,複製への関与の内容,程度等の諸要素を考慮して,誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断するのが相当であるところ,上記の場合,サービス提供者は,単に複製を容易にするための環境等を整備しているにとどまらず,その管理,支配下において,放送を受信して複製機器に対して放送番組等に係る情報を入力するという,複製機器を用いた放送番組等の複製の実現における枢要な行為をしており,複製時におけるサービス提供者の上記各行為がなければ,当該サービスの利用者が録画の指示をしても,放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであり,サービス提供者を複製の主体というに十分であるからである。
と判断しました。
なお、補足意見が付いており、
非常に分かりやすいです。
受験生は必読かと。
むしろ、まねきTV事件の判決文に載せるべきだったと
思わなくもないですが・・・。
裁判官金築誠志の補足意見(カラオケ法理)
同法理については,その法的根拠が明らかでなく,要件が曖昧で適用範囲が不明確であるなどとする批判があるようである。しかし,著作権法21条以下に規定された「複製」,「上演」,「展示」,「頒布」等の行為の主体を判断するに当たっては,もちろん法律の文言の通常の意味からかけ離れた解釈は避けるべきであるが,単に物理的,自然的に観察するだけで足りるものではなく,社会的,経済的側面をも含め総合的に観察すべきものであって,このことは,著作物の利用が社会的,経済的側面を持つ行為であることからすれば,法的判断として当然のことであると思う。
要は、「総合的に観察」した結果の判断、
つまりケースバイケースであって、
本判決の射程は本事件に限られるということかと。
裁判官金築誠志の補足意見(ロクラク事件)
放送を受信して複製機器に放送番組等に係る情報を入力する行為がなければ,利用者が録画の指示をしても放送番組等の複製をすることはおよそ不可能なのであるから,放送の受信,入力の過程を誰が管理,支配しているかという点は,録画の主体の認定に関して極めて重要な意義を有するというべきである。したがって,本件録画の過程を物理的,自然的に観察する限りでも,原判決のように,録画の指示が利用者によってなされるという点にのみに重点を置くことは,相当ではないと思われる。
行為主体が個人の場合は著作権侵害とならず、
また、行為主体はケースバイケースで変わりますよということでしょう。
基準がわかり難いから、実務に与える影響は小さくない気がします。
ところで、本件1審(平成19年(ワ)17279号)が認定した損害額は小額です。
※NHK206万円、日本テレビ28万円、TBS28万円、フジテレビ24万円、テレビ朝日26万円、テレビ東京24万円等。
どうせなら、損害無しで0円判決でないかなぁ。
実際、実害はないんだろうし。
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コメント

  1. 判例 update より:

    【★最判平23・1・20:著作権侵害差止等請求控訴,同附帯控訴事件/平21(受)788】結果:破棄差戻し

    要旨(by裁判所): 放送番組の複製物の取得を可能にするサービスの提供者が,その管理,支配下において,アンテナで受信した放送を複製機器に入力し,当該機器に録画指示がされると放送番組の複製が自動的に行われる場合,当該サービスの提供者はその複製の主体である http:…

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