分割出願の客体的要件 – 管理人
2021/06/02 (Wed) 12:46:26
ELEMENTSという参考書を使っているのですが、分割出願の客体的要件について、以下の記載がありました。
「分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面が、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でないものを含まないこと。」
「遡及効という出願分割の効果を考慮すると補正できる範囲に限定すべきであることから求められる要件である。あくまで分割は補正の一種である。」
要は分割出願で新規事項の追加ができないということだと思うのですが、このことはどの条文で規定されているのでしょうか?
Re: 分割出願の客体的要件 – 管理人
2021/06/03 (Thu) 09:39:00
特44条1項柱書の「特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる。」ですかね。
新規事項は、特許出願の一部ではないということになります。
Re: 分割出願の客体的要件 – a
2021/06/03 (Thu) 18:16:04
ありがとうございます。
度々の質問で申し訳ありませんが、条文の解説をされているページを見ていたところ、44条2項で「拡大先願の地位は分割出願の現実の出願日を基準に発生する。分割出願において新規事項が追加される可能性があるからである。」と書かれていたため、新規事項追加はできないのでは?と思い、引っかかっております。この点についてもご教示いただければ幸いです。
Re: 分割出願の客体的要件 – 管理人
2021/06/04 (Fri) 13:35:27
新規時効が追加された場合、分割の要件を満たさずに出願日が遡及しませんので、現実の出願日に出願されたものとして扱われます。
手続き上は分割出願として出願され且つ公開されますが、遡及効が生じません。
つまり、新規事項を追加して分割出願はできますが、適法な分割出願としての効果が発揮されません。
これを考慮して、いわゆる拡大先願の地位が認められないのです。
Re: 分割出願の客体的要件 – a
2021/06/07 (Mon) 03:32:14
新規事項が追加された分割出願について遡及効が生じないのであれば、当該分割出願については現実の出願日に出願されたものとして扱われるので、仮に44条2項の規定がなかったとしても、拡大先願の地位が現実の出願日で発生するという理解でおります。
そのため、分割出願において新規事項が追加される可能性があるから44条2項が規定されている、という理由付けが少し腑に落ちない状態です。
何度もすみませんが、この点について教えていただけますと幸いです。
Re: 分割出願の客体的要件 – 管理人
2021/06/07 (Mon) 17:44:08
審査官の立場に立てば分かります。
つまり、拡大先願の審査対象となる後願を審査する審査官は、分割出願である先願を審査しません。
となると、当該分割出願に新規事項が追加されているのかを調査するのは、本来の業務外の煩雑な仕事になります。
ですので、拡大先願の地位は分割出願の現実の出願日を基準に発生することにして、分割出願を先行技術から除外しているのです。
なお、法律は分かりやすさのためにあえて規定することもあります。
44条2項は無駄な争いが生じないように注意的に設けらた規定とも考えられます。
Re: 分割出願の客体的要件 – a
2021/06/09 (Wed) 16:14:48
ありがとうございます。ようやく理解することができました。
もし44条2項がなかった場合、分割出願が拡大先願の地位を有するかを調べるために、分割出願が新規事項を有するかをいちいち調べなければなりませんが、44条2項の規定があることで、最初から分割出願が拡大先願の地位を有しないことになるため、何も調べなくても良くなる、ということですね。
審査官の視点に立って考えるという発想に至らず、まだまだ勉強が足りないなと痛感しております。
ご丁寧にお教えいただき、ありがとうございました。
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