部分意匠のデメリット-弁理士試験

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意匠法 独学 チワワ

H28本試、意匠、問題1、部分意匠のデメリット – Let’s Go!!
2020/09/21 (Mon) 21:41:38
論文の問題についてお訊きします。

「部分意匠のデメリット」
ですが、模範解答等では、
「他人に全体意匠の意匠権を取得されると、全体として実施ができなくなる」というのがあります。

しかし、この他人もその全体意匠の意匠権を取得したとしても、先願の部分意匠があった場合などは、
その全体意匠を実施できないことが起きるので、

1.あまり意味がないと思うのですが、いかがでしょうか?

2.また、この場合、26条の利用関係が成立し、
先願者としては、後願の全体意匠とは、全体として異なるが、自分の部分意匠を包含する全体意匠を創作して、意匠権を取得して、実施するよりないと思いますが、そういう理解でよいでしょうか?

よろしくお願いいたします。

Re: H28本試、意匠、問題1、部分意匠のデメリット – 管理人
2020/09/29 (Tue) 16:51:29
1.先願部分意匠が存在することを知っていて全体意匠を出願するわけではないので、結果的に意味がなくなったということですね。
とはいえ、意33条の裁定を請求できるわけですから、試験的には大きな意味があります。

2.先願に係る部分意匠の意匠権者が自己の意匠と同一又は類似の意匠を実施したとしても、後願に係る全体意匠の意匠権を侵害しないと解されます。
先願意匠権の専用権が制限されるのは、先願優位の原則により重複する権利関係を調整する意26条の趣旨に反するからです。
つまり、先願意匠権者には、自己の意匠権の抗弁権(意23条)が認められます。

但し、その他の部分によって全体の美感が大きく異なるような場合に、先願意匠権者が後願意匠を実施する場合、両意匠は非類似となり該抗弁権は否定されます。

Re: H28本試、意匠、問題1、部分意匠のデメリット – Let’s Go!!
2020/09/30 (Wed) 16:40:53
回答ありがとうございます。

1.2.について
先願の部分意匠の存在を知っている知らないにかかわらず、後願者が全体意匠について、意匠登録を受けると、先願の部分意匠の意匠権者は、その全体の登録意匠及び類似意匠を実施できなくなると理解します(予備校の模範答案には、そのような記載が見えます)。

しかし、ご回答はそうではなく、
「先願部分意匠権者は、後願者の権利にかかわらず実施できる」とのことで、その点について混乱です。
前提が異なっているので、議論がかみ合ってない感じに思います。

Re: H28本試、意匠、問題1、部分意匠のデメリット – 管理人
2020/10/01 (Thu) 09:51:50
ここは排他権説と専用権説の対立があるところなので、先願に係る部分意匠の意匠権については踏み込まない方がよいと思います。
多分、これを書くような出題はないでしょうし、書けなくても大きく減点はされないと思います。

簡単に説明すると、
排他権説によれば、先願部分意匠に係る意匠権は、他人の意匠の実施を排除する権利に過ぎないので、自己の部分意匠が含まれる後願全体意匠を実施すると、意匠権の侵害となります。

一方、専用権説によれば、その他の部分によって全体の美感が大きく異なる場合(両全体意匠が非類似の場合)を除いて、後願全体意匠を実施しても、意匠権の侵害とはなりません。
つまり、後願全体意匠において、先願に係る部分意匠のその他の部分に対応する部分に要部がないのであれば、これを実施しても意匠権の侵害とはなりません。

蛇足ですが、論文試験で書くならば、排他権説の方が書きやすいとは思います。

Re: H28本試、意匠、問題1、部分意匠のデメリット – Let’s Go!! 
2020/10/01 (Thu) 18:51:23
なるほど、デリケートなテーマなんですね。

ご回答いただきありがとうございました。
予備校の回答・解説も、排他権説だと考えます。
そういう問題があることを片隅に置くことで行きたい思います。

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