弁理士試験-特許査定後の下位概念の分割

特44条1項2号での下位概念の分割 – Let’s Go!!
2020/02/04 (Tue) 15:56:24

特44条1項2号での下位概念の分割
特許査定があった上位概念の特許出願が、分子(特許請求の範囲の記載)がイ、分母(明細書又は図面)が、イ、ロ、ハの場合に、ロが、イの下位概念で具体例の場合を質問します。

2号の期間に、分割出願で、分子がロ、分母がイ、ロ、ハのような出願をした場合、ロは特許登録できるでしょうか?
現出願は補正なしです。
現出願が特許化すると、70条で判断されて、明細書にロを含む、現出願と、特許請求の範囲にロがある分割出願では、同じものなので、2重特許で、分割出願が拒絶されると考えるのですが?

ここで、リパーゼ事件の判決では、出願時点では、特許請求の範囲だけ考えるということですが、それは、分割出願についてであり、引用例になる方は、効力が発生する実態権利を問題にするはずなので、当然、明細書に具体例のロがある現出願は、二重特許ということで、39条1項の拒絶理由(49条2号)で拒絶されると考えるのですが? いかがでしょうか?
よろしくお願いいたします。

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – 管理人
2020/02/05 (Wed) 18:28:57

親出願が上位概念に係る発明で、分割出願が下位概念に係る発明の場合、分割出願に係る発明は登録されます。
つまり、発明ロは登録できます。
その理由は、同日出願に係る発明が二つの発明の出願が、一方を先願とし他方を後願と仮定したときに同一であり、且つ一方を後願として他方を先願としたときに同一である場合に、特39条における同一と判断されるからです。

つまり、下位概念の分割出願は、いずれの場合も同一ではないので、発明ロは登録できます。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0400.pdf
なお、先願発明の発明を、上位概念として表現した場合、後願は先願発明と同一と判断されます。
ただし、分割出願が上位概念に係る発明であっても、上記の同日出願に関する同一の判断基準に従って、下位概念に係る発明の親出願とは同一ではないと判断されます。

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – Let’s Go!!
2020/02/05 (Wed) 19:25:48

ご回答ありがとうございます。
これについて、疑問があります。

1.先に示したように、分割前の原出願の明細書等には、具体例(下位概念、ロ自体)の記載があるため、特許登録された場合、下位概念のロの分割出願が特許登録した場合と、同じ効果があります(70条2項)。
ということは、二重特許となります。

2 . 2号の場合の分割出願は、原出願の特許査定謄本の到着から30日以内ですから、分割出願の審査時点では、特許登録が完了して、すでに特許権となっています。
特許請求の範囲に、ロの記載がないとしても、
下位概念のロが、明細書に記載がありますから、
その部分は、分割出願に係る特許権と同じ効果が発生します。

これらから、一連の規定ぶりは、二重特許を制度的に認めているとなると考えますが、そういう理解でよいのでしょうか?
分割発明の特許性の審査の判断基準がおかしいのではないかと思うのですが、
すでに、明確に、ロいう権利が成立しているのに(特許請求の範囲にロの記載がなくイの上位概念だけの記載だとしても、明細書に記載があるので、解釈でロに権利が発生しています)、分割出願のロに権利を認めるというのは、排他権を二つ認めることになります。

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – 管理人
2020/02/06 (Thu) 09:28:53

二重特許にはなりません。
まず大きな勘違いが二つあります。
一つ目は、特70条2項を考慮したとしても、請求項に記載された上位概念に係る発明が、明細書等に記載された下位概念に係る発明と同一であると、限定的に解釈されることはないということです。

理由は、「用語の意義を解釈する」ために参酌されるにすぎないからです。
上位概念に係る特許発明イは、下位概念に係る発明ロ及びハを含む発明であり、下位概念のいずれかに限定されるわけではありません。
さらに、明細書等に記載されていないとしても、他の下位概念に係る発明を含む可能性もあります。

次に、特70条は「特許発明」の技術的範囲の解釈に用いられる条文です(特に権利行使j時です)。
したがって、審査過程における、特許公報に記載された発明の解釈には用いられません。
そして、特39条の同一性判断の手法は、特29条1項の同一性判断の手法と同じです。

つまり、「審査官は、請求項の記載に基づき認定した発明と明細書又は図面に記載された発明とが対応しないことがあっても、請求項の記載を無視して明細書又は図面の記載のみから請求項に係る発明を認定し、それを審査の対象とはしない。」です。
したがって、請求項に発明イしか書かれていなければ、請求項に書かれていないロと対比されることはありません。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/tukujitu_kijun/document/index/03_0203.pdf

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – Let’s Go!!
2020/02/06 (Thu) 16:04:55

ご丁寧な説明・回答ありがとうございます。
すみませんが、まだ、疑念が残ります。

1.イがロを含むとなった場合には、上位概念(イ)と下位概念(ロ)同士は、大小の関係にありますので、当然に同一ではないと考えます。
しかし、「ロに相当する部分」をイが有する(含む)ということならば、「商標法の68条の10の場合の指定商品ごとの同一」の考え方で、「部分的に同一」が明白ですので、現在の審査基準の記述は別として、
「その点の同一」は主張でき、権利の重複が起きるわけですが、それを看過する審査には疑問がわきます(特許庁に言うべきこととは理解しますが)。

2.特70条の適用について
出願発明と引用発明を分けて考えないといけないと考えます。
リパーゼや「審査基準が70条の適用がない」というのは、出願発明の方ですが、引用発明においては、そういうことはないのではないでしょうか?
引用発明は、その効力として、「明細書の記載も考慮して特許請求の範囲の解釈を行う」ということならば、出願発明のロは、先願発明のロ(イのロ部分)により拒絶されてしかるべきと考えるのですが。
よろしくお願いいたします。

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – 管理人
2020/02/06 (Thu) 17:51:19

まず、商標法の理屈を特許法に持ち込むのは止めた方がよいです。
客体も法体系も大きく異なるので、意味がないです。

さて、特許法上、一発明一特許の原則(例えば特39条)はあっても、異なる発明についての特許化は制限されていません。
そして、上位概念に係る発明と下位概念に係る発明とは異なる発明ですので、それぞれが特許として登録されても特許法には反しません。
なお、この場合には、特72条(利用発明)で調整されます。

つまり、上位概念に係る発明と下位概念に係る発明とが同一であるという考え自体が、特許法上は間違いです(実質的に同一ならばあります)。
もちろん、「部分的に同一」とか「その点の同一」とかの主張も認められないです。

また、特70条についてですが、引用発明の登録前後で公報の請求の範囲に記載された発明の解釈が変わるわけないです。
特許査定後料金納付前と納付後とか、無効が確定したらとかで考えてみて下さい。

特70条は特許発明に含まれる技術の範囲についての規定です。
例えば、「平面」という特許発明があったときに、どの程度の平面度が含まれるのかは、明細書等を参酌して判断します。

一方、審査において、平面度が異なる「平面」が先願の特許請求の範囲に記載されていれば、当該引用発明と差別化するために後願の特許請求の範囲に記載された「平面」の平面度を限定することが求められるわけです。
このとき、引用発明及び本願発明のいずれについても、明細書等に記載された平面度は参酌されません。
もちろん、「平面」の技術的異議が明確である場合の話です。

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – Let’s Go!!
2020/02/07 (Fri) 16:09:38

ご回答ありがとうございます。
以下、よろしくお願いいたします。

1.商標法の例がよくなかったのかもしれませんが、特許法では、請求項単位で無効審判も請求でき、複数の権利が一つの特許に関して存在するということがあります(一群の発明ならば、複数の発明を一出願でき、他方、商標が複数の指定商品・指定役務で出願でき、権利化できる点での類似性はあると考えます)。

上位概念が特許請求の範囲にあり(例:イ)、明細書に、下位概念がある(イ、イの具体例(ロ、ハ))場合、
「権利行使は、あたかも、イ、ロ、ハが、特許請求の範囲に書いてあるのと同じようにできる」というのが、70条2項の意味と理解します。
ならば、そのような出願が特許となって引用例になっていれば、
別人が、後願で、特許請求の範囲にロを記載して、出願した場合、審査においては、すでに先願特許があるのだから、ロについては、特許査定できないと考えます。

つまり、明細書に下位概念が書いてある上位概念の特許の先例(引用例)があるならば、後願の下位概念は、二重特許防止の点で、39条1項拒絶(49条2号)となると考えます。
後願にななるロが、特許となるならば、異なる2名が同じ特許権を有することになり、
排他独占権ではなくなります。

特許法と同じ創作法の意匠法でも、3条の2では「一部」の「同一・類似」を問題にして、「権利の錯綜」が問題にされます。
部分意匠ということがあったり、部品意匠ということがあるので、権利が錯綜します。
特許の場合の改良発明や、具体例・下位概念との関係は、権利についての考え方は同じと考えます。

2.リパーゼ事件では、「出願審査の段階では、あくまで、特許請求の範囲だけ見ます。原則として、明細書の記載を斟酌して解釈はしません」とのことですから、特許前後で、権利対象、「技術範囲」の評価が異なることはあります。
と、考えるのですが?

Re: 特44条1項2号での下位概念の分割 – 管理人
2020/02/10 (Mon) 09:36:32

まず、特許庁の解釈に反することは間違っているというのが、試験用の当BBSの立場です。
法律論ですので、どのような解釈をして頂いても結構ですが、私としてはを間違ったことは言えません。

すでにご説明したように、下位概念が書いてある上位概念の特許の先例があっても、その特許請求の範囲に記載がなければ、後願の下位概念は登録できます(特29条の2に該当する場合を除く)。
これに反する解釈は間違っています。

リパーゼの件は、本願特許の話ですので、引用例の解釈について持ち出すのは非常に奇妙に思います。
つまり、出願審査の段階で、本願特許について明細書の記載を斟酌しないが、権利化後は本願特許について明細書の記載を斟酌するというだけです。
引用例について言っているわけではありません。
そもそも、特70条が審査で適用されないのは、先に言った通りですし、これに反する解釈は間違っています。

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