明細書の過剰品質についての疑問

明細書の過剰品質についての疑問
【宣伝】
ドジ系受験女子の4コマ」と、「メイド弁理士の4コマ」を応援して下さい!
2/25 追記
「知財とか渉外とか特許とか」のsenri4000様が、私の疑問に正確に答えて下さっています。
ぜひこちら(品質問題?)をお読み下さい。
なお、私の原文からはとても読み取れませんが、疑問の内容は以下の通りです。
『明細書が高品質かどうかを量るには種々の評価尺度があると思われるのに、顧客から要求されるのは『形式的正確性を備えているか』という客観的に評価しやすい尺度に限られていて、こればかり求められ、事務所側もこれに汲々とするというのは、付加価値の創造にも顧客便益の提供にもなっていないのでは』?
(「知財とか渉外とか特許とか」様より引用)
本来ならば、書き直すなり削除するなりすべきところですが、「なぜ批判を浴びたのか?」ということを残すために、残しておきます。
2/23 追記
今更ながら事務所の体制を疑われかねないと思い至りましたので大幅に修正します。
なお、以下の文章は私個人の考えであり、事務所とは一切関係ありません。

今晩はちょっと危険なお話。
明細書の高品質化が要求されるようになって、もうずいぶんと経った。
ほとんどの特許事務所では、高品質化努力をし、また高品質明細書であることを売りにしている。
といっても、弁理士の経験年数によって品質は異なるし、諸般の事情で低品質となる明細書も少なくない。
そんなわけで、未だに高品質化は強く要求されているし、顧客からも所長からもそのような指導を受ける。
さて、本題に入ろう。
まず、顧客から見て高品質な明細書と何か?
真の高品質という意味では、形式的観点、技術的観点、権利化の容易さ等々の観点からみて、明細書に要求される基本的性能を超える必要があるだろう。
ただし、実質的に複数の明細書を比較して評価しうる基準として、形式的観点(執筆者が異なる複数明細書間で文言が一致すること、誤記がないこと等)が使われることが多い。
つまり、評価が困難であるため、真の品質とはかい離して、顧客が評価する高品質な明細書とは形式的観点から評価されると言えるのではなかろうか。
というわけで、以下ではこのように仮定して話を進める。
ところで、高品質な明細書を書くことの特許事務所の目的とはなんであろうか?
これは、他の事務所との差別化であろう。
これにより、安定して多数の出願を受任できる。
結果として、売り上げ増加に貢献するというわけだ。
・・・だが、本当にそうであろうか?
まず、上記のような評価基準であれば差別化は困難である。
この点は、各事務所が同じような改善努力をしており、差が広がらないと思われるからだ。
もっとも、実際の企業知財部員は相応の目利きであるので、真に高品質な明細書というのも分かってはいる。
しかし、それが受任件数に大きな影響を与えるかというと、そうではないように思う。
 注:すべての事務所・企業に言えることではないが、一部はこういう状態にあるように感じている。
そして、最も疑問に感じるのが、売り上げ増加に貢献するのか?という点だ。
先に述べたように、差別化が困難であるならば、現状維持に留まるに過ぎないのではなかろうか。
これをまとめると、結局、明細書の高品質化要求というのは、顧客からは対価を払うに値する付加価値(便益)として認められていないのではないかという疑問が生じる。
つまり、そもそも基本的性能を要求しているに過ぎず、むしろ現状で不足している部分の穴埋めに過ぎないという評価ではなかろうか?
逆に、基本的性能を超える部分を要求されているのであれば、特許事務所が高品質を追求すればするほど、過剰品質となり業界の首を絞めてしまうのではなかろうか?
・・・というわけで、差別化、付加価値、顧客便益という観点で疑問を書いてみた。
一応付言させて頂くが、品質向上の努力を否定するつもは全くないし、むしろ自分も努力している。
ただ、努力が評価されないならば、差別化できる点に力を注ぐべきではないかと思った次第である。
2/23 追記
なお、高品質明細書については、こちらのブログが特に参考になります。
明細書の「質」?」:徒然知財時々日記様
2/24 追記
参考になるというわけではないのですが、
気になったのでメモ代わりにリンクを貼っておきます。
「知的財産活用研究所の研究報告書」」:特許明細書の品質保証を考える会様
↓クリックありがとうございます。
にほんブログ村 士業ブログ 弁理士へ


↓弁理士試験ならLECオンライン Wセミナーで資料請求してね↓
  
弁理士サイトはこちら

コメント

  1. kota より:

    SECRET: 1
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    拝読した印象としましては、品質が一定水準以上なら現状維持、品質が一定水準未満なら仕事は減少、ということで普遍的な内容のようにも思いました。私は、品質が高い分は顧客へのサービスであり、品質が低い分は顧客からの借りたものと考えており、顧客が低品質を許容することは滅多になく、借りを作りたくない気持ちも自身強くあるので鋭意努力しています。そして、上記一定水準も解釈や他者との関係により変動することがあるので、努力が評価されるかどうかは不明です。私は、努力は調整し難いので、足りないよりは過剰と思う程度でも悪くないように思います。

  2. ドクガク より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    kotaさん
    コメントありがとうございます。
    そもそも、「評価されない」というのは言い過ぎであり、正確には「料金に反映され難い」ということだと思っております。
    つまり、競合特許事務所と同レベルの向上に留まれば、それが付加価値とは認められない。ということに過ぎないと考えています。

タイトルとURLをコピーしました