弁理士試験-部分意匠の利用

部分意匠の利用
意匠の利用と要旨 – 初心者
2012/10/15 (Mon) 07:00:46
LECで以下の趣旨の問題がありました。先願は部分意匠出願で後願は全体出願で題意より両者非類似なので登録されている。問の趣旨として先願権利者から後願権利者への権利行使の問題なのであるが、両者権利者なので23条では権利行使できない。しかし26条の利用関係が成立するので権利行使ができるとしている。この理由として部分意匠の4要件の判断から「類似する先願の意匠をそっくりそのまま構成要素として後願が含む」としているためである。疑問なのは4要件で類似と判断された先願の意匠をとりこむが、全体としては非類似関係というのはありうるのでしょうか。私の考え方としては4要件で部分意匠と全体意匠を判断して類似なら全体として類似であるため拒絶されることから、利用関係の考え方を持ち出すまでないのではないですか。利用関係に「要旨を取り込む?」といったような文言を見かけたことがあるのですがこれが関係するのでしょうか。
Re: 意匠の利用と要旨 – 管理人
2012/10/15 (Mon) 17:45:58
先願部分意匠に係る物品と後願全体意匠に係る物品とが異なるのであれば、4要件で類似と判断された先願の意匠をとりこむが、全体としては非類似関係というのはあり得ます。
例えば、自転車のハンドル部分に係る先願部分意匠と、自転車の後願全体意匠とがある場合に、後願全体意匠が先願部分意匠をそっくりそのまま取り込んでいる場合です。
この場合、ハンドル部分だけを見れば同一又は類似となりますが、全体的には非類似(例えばサドル形状に大きな相違がある等)となり得ます。
なお、部分意匠が類似するには、
①部分意匠の意匠に係る物品と比較意匠の意匠に係る物品とが同一又は類似であり、
②部分意匠と比較意匠の相当する箇所との用途及び機能が同一又は類似であり、
③相当する箇所との形態が同一又は類似であり、
④相当する箇所の当該物品全体の形態の中での位置、大きさ、範囲とが同一又は当該意匠の属する分野においてありふれた範囲内のものであること、
を要します。
このように、比較するのは、部分意匠と「比較する意匠の相当する箇所」です。
また、部分意匠と後願に係る全体意匠とが非類似の場合、全体意匠が部分意匠に係る部分の意匠と同一又は類似の意匠をそっくりそのまま取り入れていれば、その他の部分に大きな相違があっても利用関係が類推適用されると解されます。
この場合に利用関係を否定すると、独創的と特徴のある部分を取り入れつつ意匠全体での侵害を避ける模倣を防止するという部分意匠制度の趣旨に反するからです。
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