弁理士試験-詐害審決の再審の被請求人(被告)

詐害審決の再審の被請求人(被告)
179条、被告適格について – Let’s Go!!
2018/04/20 (Fri) 11:55:55
179条但しでは、特許庁長官を被告としない場合が規定されていて、「171条1項の再審の審決に対するものにあっては」となってます。これは、172条の場合は除いている意味でしょうか?
よろしくお願いいたします。
Re: 179条、被告適格について – 管理人
2018/04/26 (Thu) 15:00:50
結論から言えば、除外されていません。
ただし、条文上は除外されているように読めます。
まず、商50条1項の確定した取消審決がいわゆる商58条1項の詐害審決に該当する場合、当該審決に対する再審の審決に対する訴えの被告は、商61条で読み替えて準用する特179条によるものと考えられます。
そして、読み替えて準用する特179条には、商58条1項の再審の審決が挙げられておりません。
しかし、平成28年(行ケ)第10254号「Shapes事件」によれば、被告は取消審判の請求人及び被請求人です。
http://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/356/087356_hanrei.pdf
したがって、商58条1項の詐害審決に対する再審の審決に対する訴えは、審判の請求人及び被請求人(再審の共同被請求人)を被告とするものと解釈されます。
これは、当事者系審判の審決取消訴訟は、相手方を被告とするという特179条の趣旨にも合致するものです。
よって、特172条1項の詐害審決に対する再審の審決に対する訴えも、審判の請求人及び被請求人(再審の共同被請求人)を被告とするものと解釈されます。
私見ですが、特172条1項は査定系審判(具体例が思いつきませんが)と当事者系審判とを区別していないところ、特179条の趣旨を鑑みて適宜被告を決定するものと思われます。
Re: 179条、被告適格について – Let’s Go!!
2018/04/27 (Fri) 14:56:18
ご回答ありがとうございました。了解しました。
なお、
>私見ですが、特172条1項は査定系審判(具体例が思いつきませんが)と当事者系審判とを区別していないところ
ですが、172条1項では、その冒頭で、
「審判の請求人及び被請求人が共謀して」とあるので、ここで、「当事者系審判」と読ませるように思いましたが、いかがでしょうか?
Re: 179条、被告適格について – 管理人
2018/05/02 (Wed) 12:47:44
判定のような審判制度があれば、査定系でも請求人及び被請求人が共謀して審決を得ることができます(現在の判定の決定には再審を請求できません)。
そのため、条文は形式的には査定系審判を除外していません。
ただし、現在の法律上は実質的には除外されています。
Re: 179条、被告適格について – Let’s Go!!
2018/05/02 (Wed) 13:49:15
ご回答ありがとうございました。
判定は、71条3項の準用条文から、書面審理で行う、対審の審判もどきで、参加はないが、非請求人に請求書の副本を送達したり、答弁書のやり取りもあるようなので、疑似当事者系審判でもあるようですが、請求の理由の補正が無条件にできる点は、無効審判とは異なりますが、ここらへの議論は難しく脱帽です。
重要な「法的拘束力がない」「決定に再審が請求できない(いただいたご指摘)」という点をしっかり頭に入れておく程度とします。
なお、審判の条文を準用しながら、「審決」と言わずに「判定」と呼び、しかし、その途中の行政処分は「決定」(135条の「審決」を読替え))と読んだり、弁理士試験には無関係で煩雑と思います。
また、199条2項(偽証等の罪)では、「判定」が登場し、199条、203条では、「鑑定」が登場し、確か本試でも、何かで出たと思いますが、そういう点だけは注意が必要と考えます。
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