弁理士試験-補償金請求権の性格

補償金請求権の性格
補償金請求権 – nobu
2010/01/22 (Fri) 06:53:00
補償金請求権を行使して得た補償金はその後無効審判で特許権が初めからなかったこととなった場合返還する必要はあるのでしょうか?損害賠償請求に入るのか、実施料に入るのかわかりません。
宜しくお願いします。
Re: 補償金請求権 – 管理人
2010/01/23 (Sat) 02:11:03
何らの特約もない場合は、返還する必要があると思います。
ただし、時効によって返還義務が消滅することもありますので、元特許権者が自ら返還を申し出ることはないように思われます。
なお、実務では、無効となっても返還する必要がないように、「補償金を返還しない」旨の特約を結ぶのが一般的です。
また、補償金の性格ですが、出願人の損失補填を目的とするので、実施料なのか損害賠償なのかといえば損害賠償でしょう。
ただし、特許権が存在しない時期の実施は不法行為ではないので、不法行為に基づく損害賠償(民709条により不法行為が必要)とは異なります。
つまり、補償金は損害賠償でも実施料でもありません。
Re: 補償金請求権 – ペンキ
2010/01/24 (Sun) 16:53:16
いわゆる補償金請求権制度は、昭和45年の一部改正において、当時のオランダ、西ドイツ等の外国の立法例を参考にして導入されたものですが、本制度の法的性格は、立法趣旨により、特許法により認められた特別の請求権であると考えます。
なお、特許権設定後、補償金請求権を行使して得た補償金はその後無効審判で特許権が初めからなかったこととなった場合、一部の学説では、返還する必要があるとの見解がありますが、本制度の立法経緯・趣旨から解釈すると、返還する必要はないと考えます。したがって、実務上、補償金請求権の行使に際しては、時効により消滅しない限度において、特許権の設定登録後において行うことが賢明であると考えます
【関連記事】
「特46条の2と補償金請求権」

なお、本日の本室更新は「お休み」です。
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