弁理士試験-直列的附加と限定的減縮

直列的附加と限定的減縮
特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – Let’s Go!!
2018/06/27 (Wed) 12:40:20
サイト内で条文の説明で、内的附加と外的附加の説明が対比されている記載がありますが、その説明について確認します。
内的附加: 発明特定事項の直列的附加
外的附加: 構成要件の直列的附加
とうことで、大小の尺度で、
「発明特定事項」<「構成要件」
「発明特定事項」:「「構成要件」のパーツ」
と理解しました。
しかし、その他の記述、例えば、青本の17条の2第5項2号の説明では、限定的減縮(内的附加)の説明で、「例えば、発明特定事項の下位概念化」とあります。ここでは、「発明特定事項」=「構成要件」。としてます。
ここら辺は、どのように理解すべきでしょうか?
よろしくお願いいたします。
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – 管理人
2018/06/28 (Thu) 13:28:07
発明特定事項とは、構成要件の特徴等であって(例えば大きさ)、構成要件の部品には限定されません。
そのため、発明特定事項の下位概念化が直ちに構成要件の下位概念化を意味するものではありません。
例えば、構成要件の発明特定事項である大きさを、1cm以上から10cm以上に限定するような例があるかと思います。
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – Let’s Go!!
2018/07/05 (Thu) 19:51:41
関連も拝見しましたが、「発明特定事項の直列的附加」=「内的附加」についてですが、
「発明特定事項」に関して、使い方が二つあるのではないでしょうか?
1.「構成要件」と同義
2.「構成要件」を限定する修飾詞(「大きさ」のような特定用語・形容詞)
そして、「直列的附加」という用語は、1.の場合に使われるもので、「内的附加」を表す文脈では、通常使われないのではないでしょうか?
例ですが、「1cm以上」において、
その下位概念としては、
1.「1cm以上9cm以下」
2.「10cm以上」
となるように考えますが、どうでしょうか?
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – 管理人
2018/07/06 (Fri) 12:40:30
自論は大変結構だと思いますが、「発明特定事項の直列的付加」という表現は特許庁も使用している使い方であり、通常の用法です。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_iii.pdf
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – Let’s Go!!
2018/07/06 (Fri) 15:16:43
ご回答ありがとうございました。
特許庁の資料も拝見しました。
確かに、特許庁は、資料の 4.3.1で、
「発明特定事項の直列的付加」を使ってますが、
ここでの「発明特定事項」は、「構成要件」と同義と考えます。
「発明特定事項の直列的付加」が、「特許請求の範囲の減縮」と言ってますが、これは、いわゆる「外的附加」において言っています。
つまり、「外的附加」の文脈で使用されており、「内的附加」の文脈では使用されてません。
「限定的減縮」についての記述は、4.2と4.3.2ですが、
それを見る限り、「発明特定事項の限定」とあり、ここでは、「発明特定事項の直列的付加」の表現はでてきません。
資料を提示いただき、より深く確認できました。
ありがとうございました。
発明特定事項と構成要件 – 通りすがりです
2018/07/06 (Fri) 15:27:32
平成6年改正以前の旧36条5項2号では、請求項を「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した項」としていたため、請求項に記載された構成を「構成要件」と読んでいました。
「要件」というのは、必須の事項という意味です。
一方平成6年改正によって、36条5項では、「特許請求の範囲には、請求項に区分して、各請求項ごとに特許出願人が特許を受けようとする発明を特定するために必要と認める事項のすべてを記載しなければならない」としました。そのため、「要件」という言葉が適切でないと考えられ、「構成要件」に当たる構成を「発明特定事項」と呼ぶようにした。
このように基本的には同義として理解しておりました。
また、直列的付加=外的付加
(えんぴつ→消しゴム付えんぴつ)
限定的減縮=内的付加=内的減縮
(えんぴつ→赤えんぴつ)
と理解しております。
もちろん、いずれも減縮に当たります。
このお話は、そもそも
内的附加≠直列的附加
が引っかかっていらっしゃったのではないか思いますがいかがでしょうか。
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – Let’s Go!!
2018/07/06 (Fri) 20:24:31
「構成要件」から呼び名が変化した由来の説明ありがとうございます。
ご指摘の点、その通りです。
管理人様には、質問対応で大変にお世話になってますが、
サイト内で、「内的附加」=「直列的附加の一種」というような説明が、126条1項2号の条文の説明箇所にあるため(下記)、その点が「?」なので、質問、投稿させていただきました。
> ・発明特定事項の直列的付加(いわゆる内的付加)でなければ補正が認められない特17条の2第5項第2号とは異なり、構成要件の直列的付加(いわゆる外的付加)も認められる。
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – 管理人
2018/07/09 (Mon) 12:55:30
ことばの定義があいまいなのだと思います。
私は補正時の限定的減縮の一態様に内的付加があり、これに対して訂正時の非限定的減縮の一態様に外的付加があるのではないかと思います。
そのため、直列的付加が内的付加に当たることも、外的付加に当たることもありえます。
一方、外的付加が限定的減縮に当たることはありません。
例えば、特許庁は訂正時の特許請求の範囲の減縮の例として「構成要件の直列的付加」を挙げています。http://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/sinpan-binran_16/38-03.pdf
一方、補正時の限定的減縮の例として「発明特定事項の直列的付加」を挙げています。https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_iii.pdf
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – 通りすがりです
2018/07/10 (Tue) 08:57:43
管理人様、Let’ go様ありがとうございます。
>一方、補正時の限定的減縮の例として「発明特定事項の直列的付加」を挙げています。
これに関しては、私は補正時の「減縮」の例として「発明特定事項の直列的付加」を挙げているように読めます。
そして、限定的減縮の「限定する」の解釈として、その下で、
「発明を特定するための事項」を「限定する」補正とは、以下のことをいう。
①補正前の請求項における「発明を特定するための事項」の一つ以上を、概念的により下位の「発明を特定するための事項」とする補正。
なお、作用で物を特定しようとする記載を用いた発明特定事項(機能実現手段等)に対し、その作用とは別個の作用を有する発明特定事項は、通常、概念的に下位のものとは認められない。
②マーカッシュクレーム等、発明を特定するための事項が選択肢として表現されている請求項においては、その選択肢の一部を削除する補正。
とあります。
私も直列的付加が減縮の一つであることについては全く異論をはさみません。そして、もし直列的付加が上記①②のいずれかを満たすことがあれば、限定的減縮にあたるということについても異論はありません。
しかし、私の頭では、直列的付加の場合であって、①②のいずれかを満たす例が思い浮かびません。
これ以上は、弁理士試験合格のためには不要な議論かと思いますので、私も上の例を考え続けるという宿題をもって、終えたいと思います。
余計な話をして申し訳ありませんでした。
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – Let’s Go!!
2018/07/11 (Wed) 13:12:15
通りすがりですさん
投稿ありがとうございます。
私の主張?は、
管理人様の
「直列的付加が内的付加に当たることも、…ありえます」
が、「ありえない」です。
「「直列的附加」は、外的附加の場合だけ使われている」という主張です(理論的に「発明特定事項をさらに細分・制限する要素の直列的附加」ということは、分かりますが、庁は、そういう言い回し・表現はしていないかと)。
また、
>一方、補正時の限定的減縮の例として「発明特定事項の直列的付加」を挙げています。https://www.jpo.go.jp/shiryou/kijun/kijun2/pdf/tjkijun_iii.pdf
については、通りすがりさん指摘のように、
「4.3.2(2)」が「限定する」の解釈を説明している所によると、「限定的減縮」と単なる「減縮」を区別しているので(後者は、前者を含みますが)、やはり「>」以下は、誤ったご理解と考えます。すみませんが。
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – 管理人
2018/07/11 (Wed) 15:13:49
ご主張は理解いたしました。
おそらくは発明特定事項の解釈に相違があるのかと思います。
最後に「直列的付加」が限定的減縮にあたるとされた事例をいくつか紹介して終わりにします。
なお、発明特定事項の直列的付加が限定的減縮にあたらないとされた審決も複数存在します。
・主レンズの構成として集束電極と中間電極を直列的に付加した補正が限定的減縮にあたるとされた審決
http://tokkyo.shinketsu.jp/decision/pt/view/ViewDecision.do?number=1154740
・ポリオレフィン系樹脂層などの厚みの範囲を直列的に付加した補正が限定的減縮にあたるとされた審決
http://tokkyo.shinketsu.jp/decision/pt/view/ViewDecision.do?number=1194136
・「積層面側の波の大きさ、波の形成ピッチが上下で異なるように形成されていて」という事項を直列的に付加した補正が限定的減縮にあたるとされた審決
http://tokkyo.shinketsu.jp/decision/pt/view/ViewDecision.do?number=1207733
Re: 特126条1項1号、発明特定事項と構成要件 – Let’s Go!!
2018/07/13 (Fri) 13:06:42
審決例のご紹介、どうもありがとうございました。
主に「補正の目的」だけ見た印象ですが、
1番目と2,3番目の直列的附加は、少し意味が相違するように思いました。1番目が「外的附加だが、限定的減縮」というような表現で、頭がくらっとするような印象でした。
17条の2が、何回か改正が入って条文が参照しにくくなっている点も、初めて知りました(経験浅い初心者としては当たり前ですが)。
今の5項が「3項だった時代」「4項だった時代」を推量しました。
過去の審決の表現は表現として、その時の審査基準も不明ですから、結論としては、
「今の審査基準で考えるべきで、今の審査基準は、4.3.2(2)で「限定する」の解釈を明示してますので、それで行くべき」となりました。
貴重な審決データーベースリンクを知るきっかけ
ともなりました。
どうもありがとうございました。
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