弁理士試験-特許発明・登録意匠の範囲

特許発明・登録意匠の範囲
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無題 – ポン太
2011/03/24 (Thu) 23:50:36
①発明イ(発明構成要件α)について特許を受けている場合、無権原者乙がαβを生産するとき
②意匠イ(製品α)について意匠登録を受けている場合、無権限者乙がαβを製造するとき
①と②において乙の行為の侵害の検討ですが、
①:権利一体の原則によりαβは特許発明の技術的範囲に属する
②:乙は意匠権者でないので文言上26条に該当しないが無権  原者であっても利用侵害は当然に成立する
という風に、書き方が異なるのでしょうか?
①においても、②のような書き方をするのはまずいですか?
Re: 無題 – 管理人
2011/03/30 (Wed) 12:16:00
ご質問の趣旨を鑑みて、βは製品αから分離可能な部品であり、αβはαとは非類似の物品であるという前提でお答えします。
さて、①において②のような書き方をするのはまずいです。
登録意匠の範囲に属すると書くのでしょうが、非類似の意匠は登録意匠の範囲に属しません(登録意匠の範囲は、類似判断の基礎となる範囲です)。
また、無権原者であれば、利用侵害は例外的に類推されるのみであり、「当然」に成立するものではないと思います。
私ならば、①については「特許発明イが構成要件αからなる製品αであり、乙の製品αβは構成要件αを備えるので、乙の製品αβは特許発明イの技術的範囲に属する。」と記載します。
一方、②については、物品非類似によって原則は侵害が成立しません。
しかし、乙の製品αβは、登録意匠と同一の意匠をそっくりそのまま取り入れており、このような行為を非侵害とすることは意26条の趣旨に反します。
よって、意26条の類推適用により登録意匠イに係る意匠権を侵害すると解します。
なお、②については、製品αと製品αβが類似するという結論に従って記載することも可能です。
この場合は、αとαβとが類似の意匠であり、物品も類似(又は同一)であるので侵害するという書き方になります。
ところで、権利一体の原則とは、特許発明の実施が発明特定事項全体の実施であることをいいます。
そのため、「特許発明の技術的範囲に属する」ことの理由として記載するのは不適当であると思われます。
Re: 無題 – ポン太
2011/03/30 (Wed) 22:45:49
詳しい解説ありがとうございます。
管理人様の、
①については「特許発明イが構成要件αからなる製品αであり、乙の製品αβは構成要件αを備えるので、乙の製品αβは特許発明イの技術的範囲に属する。」
という箇所ですが、ここに「権利一体の原則」という語句を入れたい場合は文章の最後に括弧書きで記載するのがよろしいでしょうか?
Re: 無題 – 管理人
2011/03/31 (Thu) 11:41:56
権利一体の原則は、一部実施が非侵害であることの根拠です。
また、権利一体の原則によって技術的範囲に属すると判断されるわけでもないので、括弧書きであっても記載するのは不適当であるように思います。
Re: 無題 – ポン太
2011/04/07 (Thu) 20:32:07
「権利一体の原則」と「特許発明の技術的範囲に属する」
という語句を使って、侵害の検討をする場合
どのように記載するのがよろしいでしょうか?
乙の製品αβは構成要件αを備えるので、特許発明の技術的範囲に属し、乙の行為は業としての特許発明の実施に該当する(2条3項、権利一体の原則)
よって乙は甲の特許権を侵害する。
という記載は、おかしなところがありますか?
Re: 無題 – 管理人
2011/04/11 (Mon) 12:31:30
権利一体の原則は、特許発明の技術的範囲」と関連しますが、「実施」についての原則であるので違和感を覚えます。
ただし、私個人の主観ですので、誤りではないかもしれません。
本問について「権利一体の原則」を絡める場合、私ならば下記のように記載します。
「特許発明の実施とは、発明特定事項全体の実施をいい、発明特定事項の一部のみの実施は該当しない(権利一体の原則)。
本問の場合、乙の製品αβは特許発明の発明特定事項の全てである構成要件αを備えており、特許発明の技術的範囲に属する。
また、製品αβを生産する乙の行為は、発明の実施(2条3項)に該当する。
よって、発明特定事項全体の業としての実施であるといえ、第三者である乙は甲の特許権を侵害する。」
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