外国語特許出願の権のPCT20条送達
国際特許出願におけるPCT送達 – 初心の者
2018/12/03 (Mon) 10:34:53
特184の7②で、日本語特許出願の場合にはPCT20条送達による補正書送達の効果が規定されてますが、外国語特許出願の場合には、20条送達の効果は規定されていないようです。これは何らかの理由によるものでしょうか?
最近、条文を読み直していて、疑問が涌いてきました。
ご教示のほど、宜しくお願いします。
Re: 国際特許出願におけるPCT送達 – とおりすがりです
2018/12/04 (Tue) 11:18:48
青本20版p.570に次のような記載があります。
「なお、現在の本条は、日本語特許出願についてされたPCT19条に基づく補正のみを対象としているが、平成6年の一部改正前は、外国語特許出願についてされた補正についても本条においてその取扱い等を規定していた。しかしながら、外国語特許出願についてされたPCT19条に基づく補正については、平成6年の一部改正において、国際出願日における請求の範囲の翻訳文に代えてその翻訳文を提出することができることとし(184条の4第2項)、特許法上の位置付けについても184条の6第3項において規定することとしたため、本条の対象からは削除した。」
Re: 国際特許出願におけるPCT送達 – 初心の者
2018/12/04 (Tue) 12:16:50
とおりすがり様
既に、青本に目を通していたのですが、このような記載があることを、すっかり忘れてました。ご指摘有難うございます。
最初、疑問に思ったのは、PCT20条送達により、「外国語特許出願の場合にも19条補正の補正書の翻訳文が指定官庁に送達されるのではないのか?」ということです。もし、そうであれば、外国語特許出願の場合も、日本語特許出願の場合と同様に補正の効果が規定されている、と思ってました。PCT20条送達には、翻訳文は含まれないのでしょうか?
Re: 国際特許出願におけるPCT送達 – とおりすがりです
2018/12/04 (Tue) 14:17:53
結論からいえば、外国語特許出願の場合は、PCT20条送達には、翻訳文は含まれていません。
外国語特許出願は、外国語でされた国際特許出願(184条の4第1項)であり、国際段階(国内移行前)のPCT19条補正はその外国語でされます。
国内移行前ということは、どの国に移行するかもわからない段階ですから、日本語の翻訳文を出すタイミングではありません(みなし全指定ではありますが、実際に権利化を求めているかどうかとは別問題)。
そうすると、日本に移行するとなれば、日本語の翻訳文が必要になります。
そのため、国内移行の際に、請求の範囲の翻訳文等を出すことになるのですが、19条補正されたものをどのように反映させるかというときに、
(1)最初の請求の範囲の翻訳文を出して、19条補正された請求の範囲の翻訳文を出すか(184条の4第6項)、(2)いきなり19条補正された請求の範囲の翻訳文を出すか(184条の4第2項)、
を選べるのです。
一方、日本語特許出願は、日本語でされた国際特許出願(184条の6第2項)であり、国際段階(国内移行前)のPCT19条補正は日本語でされます。
ということは、日本への国内移行の際に翻訳文を出す必要がない代わりに、19条補正された請求の範囲をどう反映させるかがポイントになります。
そこで、184条の7のような規定が必要になるのです。
Re: 国際特許出願におけるPCT送達 – 初心の者
2018/12/05 (Wed) 12:53:09
とおりすがりです様
非常に丁寧で明解なご説明を頂きまして、恐縮いたします。理解の深さの差のようなものを感じます。
小生なりに、納得できました。重ねて有難うございます。
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