弁理士試験-変更出願と拡大先願の地位

変更出願と拡大先願の地位
H20-15-1に関連して – あやパパ
2016/03/06 (Sun) 21:14:18
①甲が実用新案登録出願Aで考案イ(請求項にはない)
②乙が特許出願Cで発明イ(請求項に記載)
③甲が実用新案登録出願Aを特許出願Bに変更(イは請求項にはない)
④Bが公開された
この場合ですが、
乙の特許出願Cは
(1)甲の実用新案登録出願Aが公開擬制されることはないので、実3条の2により出願Aにより拒絶されることはない。
(2)甲のBでは請求項にイはないので、特39条の拒絶理由はない。
という問題だと思います。
<質問>
ここで、①の実用新案の公報発行擬制ですが、実用新案から実用新案への国内優先権主張や、分割出願(公報として発行された当初明細書)では認められるのに対して、変更出願では認められないのはなぜですか?
<考えたこと>
本来特29条の2は、39条で拒絶するのには審査で時間がかかること、新たな技術を公開したわけではない出願に権利を与えるのが適切でないことから設けられている。変更出願した場合には、特39条や実7条のような地位はないので、変更前の出願にまでも拡大先願の地位を与えるのは適切ではないから。
Re: H20-15-1に関連して – 管理人
2016/03/07 (Mon) 12:12:32
変更出願では認められないのは、特46条に基づく変更後の出願には新規事項が追加される可能性があるからであると思われます。
なお、特44条に基づく分割の基礎出願には、このような問題が生じません。
また、特41条に基づく国内優先権主張出願の場合は、基礎出願に記載されていた事項について公開擬制されるので(特41条3項)、そのような規定がない特46条とは異なります。
ところで、変更に係る特許出願であっても先願の地位(特39条)は生じると思いますが?
Re: H20-15-1に関連して – 受験生
2016/03/07 (Mon) 12:52:03
勉強のため議論に参加させてください。
>あやぱぱさん
29条の2の他の出願として遡及効が認められないのは、分割に係る新たな出願(44条2項但書)も、変更に係る出願(46条6項で準用される44条2項但書)も同じですよね。(新規事項追加のおそれのため)
そして、分割に係るもとの出願については、41条3項の公開擬制がされるという話をしているという、理解で正しいでしょうか?
Re: H20-15-1に関連して – あやパパ
2016/03/08 (Tue) 23:19:34
管理人様、受験生様
私の文章、分かりにくくてすみません。
私が問題にしていますのは

変更出願に係るもとの”実用新案登録出願”のことです。
特41条3項のような実用新案掲載公報の発行がされたものとみなされる規定がない理由を知りたいのです。
変更後や分割にかかる新しい出願が実3条の2や特29条の2の他の出願にならないのは理解しています。管理人さんのおっしゃるように新規事項が追加されるおそれがあるからですよね。
しつこいですが、変更前の(という表現は変ですが)実用新案登録出願が公報発行擬制されない理由をご教授ください。
宜しくお願いいたします。
Re: Re: H20-15-1に関連して – 受験生
2016/03/10 (Thu) 19:33:07
結局、答えを持っているわけではないのですが、検討したことを記載します。
41条3項は、取り下げられた出願に対して、29条の2等のために、公開擬制を定めている条文と理解しています。
まず、意匠⇔特、実の相互の変更について、29条の2の拡大先願という趣旨から考慮すると、意匠と、特実とが、先後関係にならないため、公開擬制する必要はないと考えます。
次に、特⇔実の相互の変更について検討します。もとの出願は取下擬制されるため、29条の2の適用はなく、出願人にとって不利益となるようにも思われます。しかし、変更の遡及効により、先願の地位を確保できているので、出願人にとっては、41条3項のような規定がなくても、その不利益は小さいと考えます。
よって、変更には、41条3項のような保護はないと、考えました。
Re: H20-15-1に関連して – あやパパ
2016/03/10 (Thu) 20:13:14
受験生様、議論に参加いただきありがとうございます。
①の実用新案の出願なのですが、考案イは請求項にないのです。ここがH20-15-1の一つのポイントです。
宜しくお願いいたします。
Re: H20-15-1に関連して – 管理人
2016/03/11 (Fri) 12:05:34
私見ですが、まず日付が疑わしい場合は引例にしないというのが原則だと思います。
もしかしたら、先の出願(基礎出願)との重複を判断するという審査負担が大きいので、引例にしたくないという思惑があるのかもしれません。
しかし、国内優先権主張出願(特41条)に関しては、後願排除効がないとすると制度の利用率が低くなると予想されるため、例外的に後願排除効を認めているのではないかと思います。
法的に考えると、新規事項が追加されたとしても有効な先願の地位を有するような出願にまで拡大された先願の地位を与えないというのは、他の出願との公平の観点から妥当でないという感じでしょうか。
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