弁理士試験-商9条で出願日遡及の理由

商9条で出願日遡及の理由
商9条①とパリ11条(1)(2) – Lets’Go!
2017/03/02 (Thu) 23:08:56
パリの仮保護は、優先権の基礎出願と同じで、出願日の遡及ではないですが、商9条は出願日遡及で、保護が厚いですが、これはどういう理由からでしょうか?
青本にもありませんが、なぜ、青本で、この点を言及していないのでしょうか?
Re: 商9条①とパリ11条(1)(2) – 管理人
2017/03/06 (Mon) 14:42:15
パリ条約11条(1)では「同盟国は,いずれかの同盟国の領域内で開催される公の又は公に認められた国際博覧会に出品される産品に関し,国内法令に従い,特許を受けることができる発明,実用新案,意匠及び商標に仮保護を与える。」とのみ規定されており、出願日が遡及するとは規定されていません。
ただし、これは、優先権(パリ条約4条B)とは異なり、特許でいえば新規性喪失の例外適用の話です。
特許では、出品又は出展の日の後に他人の出願があっても新規性がないため拒絶されますので、審査時点を遡及させれば十分保護が可能です。
一方、商標では出品又は出展の日の後に他人の出願があっても、出品又は出展の事実によっては拒絶されません。
よって、出願日を遡及させることによって保護しているものと思われます。
なお、優先権との絡みで言及がないのは、両制度が異なるために比較する意味がないからでしょう。
Re: 商9条①とパリ11条(1)(2) – Lets’Go!
2017/03/07 (Tue) 01:13:56
回答ありがとうございました。特許は、請求の範囲、明細書というように、公開してしまった内容とのずれが発生し、出願そのものという扱いは、しがたいのに対して、商標の場合は、「商標」そのものずばりで、「公開」内容と「出願」内容が異ならないからと思えました。では「意匠」は?というと、「意匠」の場合も、「出願意匠」と「公開意匠」との「違い(類似の場合のずれ)」を考慮していて、「出願」とは内容が違う場合を考慮しているためと思えました。
逆に「商標」の場合は、「禁止権」の範囲の「類似商標」の出願の場合は、商9条は使えない感じですが、その場合は、権利化したいなら「公開商標」と「類似商標」を二つともを出願すればよい。というような答えでよいでしょうか?(論文対策まで含めた質問のようになっていますが、よろしくお願いします。)
Re: 商9条①とパリ11条(1)(2) – 管理人
2017/03/07 (Tue) 12:31:59
権利化したいならば、「公開商標」(商9条適用)と「類似商標」(通常出願)を二つとも出願すればよいのですが、禁止権があるので、出願は不要だと思います。
あと、理由付けとしては、商標法では新規性が登録要件になっていないから、で十分だと思います。
ずれ?の話はよく理解できません。
Re: 商9条①とパリ11条(1)(2) – Lets’Go!
2017/03/08 (Wed) 12:20:15
回答ありがとうございます。分けて補足させていただきます。
1.「ずれ」について:
発明の新規性喪失の場合は、論文の発表会や学術雑誌への投稿をイメージしますが、すると、それは、出願形式ではないはずです。論文や記事をそのまま、「明細書」扱いしてしまうのは、相当にハードルが高いので、商9条のように「そのまま出願扱いする扱いにしていない」という理解です。
他方、商標は、いわば「マーク(標章)」ですから、博覧会に出品されたものについていれば、その同一性は出願のものと同一か否かは明白ですので、出願扱いしてもよい。という事情と理解しました。
2.「類似商標」の権利化について:
商9条は、「公開商標」にしか適用がありません。従って、6ヶ月という時間だけですが、第三者に先を越されないために、その出願日を確保する利益はあると考えます。「公開商標」の出願者だけに「類似商標」が登録できる利益があるという理解です。
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